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特定商取引法に基づく表記の書き方|記載事項と例文・省略できる条件

特定商取引法に基づく表記の書き方|記載事項と例文・省略できる条件

ネットショップのカート管理画面を開くと、「特定商取引法に基づく表記」という入力欄が並んでいます。事業者名、所在地、電話番号、返品について。空欄のままでは公開できないのに、何をどう書けば正解なのかはどこにも書かれていません。よそのショップからコピーしようとして、自宅の住所と携帯番号を載せる段になって手が止まった、という人も多いはずです。

ここでつまずくのは当然で、記載項目は「常識」ではなく条文で決まっているからです。逆に言えば、条文と消費者庁の解釈さえ押さえれば、自社の取引条件に合わせて自分で書けるようになります。

先に結論を3つ挙げます。

  1. 書くべき内容は、特定商取引法第11条と同法施行規則第23条の2か所から逆算する。テンプレートの見出しをなぞるのではなく、この2つの条文に自社の条件を当てはめる形が確実です。
  2. 「請求があれば遅滞なく提供する」旨を書けば、氏名・住所・電話番号などを省略できる。ただし条件は施行規則第25条で細かく決まっており、返品に関する重要部分はどの場合も省略できません。
  3. 返品特約を書かないと、引渡日から8日間、理由を問わず返品を受けなければならなくなる(法第15条の3)。しかもネット通販では、表記ページに書くだけでは足りず、最終確認画面にも表示しておく必要があるとされています。

※本記事は2026年7月時点で、e-Gov法令検索の条文および消費者庁「特定商取引法ガイド」の公開情報を確認して整理した一般的な内容です。個別の商材や販売方法によって必要な記載は変わります。実際の表示内容の最終判断や、行政指導・トラブルへの対応は、弁護士等の専門家にご確認ください。

「表記」と「表示」— まず何を求められているのか

特定商取引法に基づく表記が通信販売の広告表示義務であることを示す図

条文上の言葉は「表記」ではなく「表示」です。特定商取引法第11条は見出しを「通信販売についての広告」とし、通信販売の販売条件について広告をするときは一定の事項を広告に表示しなければならないと定めています。「特定商取引法に基づく表記」はカートやモールの管理画面で定着した通称で、指しているものは同じです。

大事なのは、これが独立したページを1枚作る義務ではないという点です。義務の対象は「広告」であり、消費者庁の通信販売広告Q&Aは、商品を紹介するランディングページのように、事業者が申込みを受ける意思が明らかで消費者がその表示を受けて申込みできるものは特定商取引法の広告に該当し、その広告内で第11条の事項を表示する必要があるとしています。商品ページから1クリックで到達でき、フッターからも常に開ける表記ページを置くのが実務的な形です。

対象は通信販売を行う販売業者・役務提供事業者です。自社ECもモール出店も、オンライン講座やダウンロード販売も含まれます。一方、法第26条第1項第1号は、申込者や購入者が営業のためにまたは営業として締結する契約を適用除外としており、純粋なBtoB取引には通信販売の規定が適用されません。ただし個人でも申し込める導線が残っていれば実態で判断されるため、迷うなら表示しておくほうが安全です。

記載事項の全体像 — 法第11条と施行規則第23条

特定商取引法第11条と施行規則第23条の記載事項を一覧で確認する図

第11条は5つの事項を列挙し、6号で「その他、主務省令で定める事項」として施行規則に委ねています。委ねられた先が特定商取引に関する法律施行規則第23条です。両者を並べると次のようになります。

記載事項根拠誰に必要か
販売価格(送料が含まれない場合は販売価格および送料)法11条1号全員
代金の支払時期および方法法11条2号全員
商品の引渡時期(権利の移転時期・役務の提供時期)法11条3号全員
申込みの期間に関する定めがあるときは、その旨と内容法11条4号期間限定販売をする場合
申込みの撤回・解除に関する事項(返品特約があればその内容)法11条5号全員
事業者の氏名または名称、住所、電話番号規則23条1号全員
代表者または通信販売に関する業務の責任者の氏名規則23条2号法人がウェブ等で広告する場合
国内事務所等の所在場所と電話番号規則23条3号外国法人・外国居住の個人
販売価格以外に負担させる金銭の内容と額規則23条4号送料以外の費用がある場合
契約不適合の場合の販売業者の責任についての定め規則23条5号その定めを置く場合
動作環境その他必要な条件規則23条6号ソフトウェア・デジタルコンテンツ
2回以上継続して契約する必要があるときは、その旨・金額・契約期間等規則23条7号定期購入・サブスク
販売数量の制限その他特別の販売条件規則23条8号制限を設ける場合
省略時に請求者へ負担させる書面等の金銭の額規則23条9号有料カタログ等
事業者の電子メールアドレス規則23条10号電子メール広告をする場合

「全員に必要な項目」と「該当する場合だけの項目」が混在しているのが分かりにくさの原因です。物販だけなら動作環境欄は不要ですが、期間限定セールをするなら申込期間の記載が要ります。この4号は2021年の改正で追加されて2022年6月1日から施行された比較的新しい項目で、古いひな形には入っていないことがあります。

項目別の書き方と記載例

特定商取引法に基づく表記の各項目に具体的な記載例を当てはめる図

まず、物販のネットショップを想定した記載例を通しで示します。自社の条件に置き換えて使ってください。

項目記載例
販売業者株式会社◯◯(個人事業の場合は戸籍上の氏名を記載)
運営統括責任者◯◯ ◯◯
所在地〒000-0000 ◯◯県◯◯市◯◯1-2-3 ◯◯ビル4階
電話番号00-0000-0000(受付時間 平日10:00〜17:00 土日祝を除く)
メールアドレスinfo@example.com
販売価格各商品ページに表示する税込価格
商品代金以外の必要料金送料 全国一律750円(北海道・沖縄・離島は1,500円)/代金引換手数料330円/銀行振込手数料はお客様負担
支払方法クレジットカード、コンビニ決済、銀行振込、代金引換
支払時期クレジットカードは注文時に決済/コンビニ決済・銀行振込は注文後7日以内の前払い/代金引換は商品お届け時
引渡し時期注文(前払いの場合は入金確認)後、3営業日以内に発送します
返品・交換後述の返品特約の項を参照
申込みの有効期限期間限定販売を行う場合は、各商品ページに販売期間を表示します
販売数量の制限制限がある場合は、各商品ページに「お一人様◯点まで」と表示します

以下、間違いやすい項目を補足します。

事業者名は屋号だけでは足りない

Q&Aは、事業者の氏名または名称について、個人事業者は戸籍上の氏名または商業登記簿に記載された商号、法人は登記簿上の名称を記載する必要があり、通称・屋号・サイト名のみの表示は認められないとしています。屋号を出したい場合は「◯◯ショップ(運営者:山田太郎)」のように本名を必ず入れます。

「責任者」の氏名が必要なのは法人だけ

規則23条2号が代表者または通信販売に関する業務の責任者の氏名を求めているのは、法人がウェブサイト等で広告をする場合です。個人事業主は氏名そのものが1号で必要なので、別に責任者を立てる必要はありません。責任者は担当役員や担当部長など実務を担当する者の中の責任者でよく、代表権を持つ必要はないとされています。

販売価格は税込の実売価格

Q&Aは、販売価格とは実際に取引が行われる際の価格(実売価格)であり、定価や希望小売価格を表示していても実際は異なる価格で販売しているなら実売価格を表示したことにならないとしています。あわせて消費者向けの事前表示には消費税法第63条の総額表示義務がかかるため、税込価格を明示します。市況で価格が動く商材は、最高額と最低額を示して目安を伝える方法が望ましいとされています。

送料は「実費」ではなく金額で書く

施行規則第24条第1号は、送料を表示するときは金額をもって表示することと定めています。「実費」「別途」だけの表記は不十分です。ただしQ&Aは、最高額と最低額の表示、平均額の表示、数例の表示など、消費者が自分の負担額をおよそ認識できる分かりやすい表示であれば、商品ごとに送料を表示しなくても構わないとしています。「本州750円/北海道・沖縄1,500円」で足ります。

代引手数料・梱包料は金額まで書く

送料以外に負担させる金銭は、規則23条4号により内容と額の表示が必要です。Q&Aも、「代金引換手数料、梱包料がかかります」という記載では消費者が金額を予測できないため、具体的な金額の記載が必要としています。ラッピング料や組立設置費も同様です。

引渡時期は「入荷次第」では足りない

施行規則第24条第2号は、引渡時期・提供時期を期間または期限をもって表示するよう求めています。Q&Aによれば「◯日以内」「◯月◯日まで」が基本形で、「直ちに」「即時」のように速やかな引渡しを意味する表現も可。一方、「入荷次第」は時期を示したことにならず不可です。また「入金確認後発送します」だけでは引渡時期を示したことにならず、「入金確認後、直ちにお届け」であれば足りるとされています。表現ひとつで適否が分かれる項目です。

動作環境・定期購入は該当するときだけ

規則23条6号は、プログラムを記録した物の販売や、映像・音楽の視聴役務などについて、利用に必要な電子計算機の仕様および性能その他の必要な条件の表示を求めています。ダウンロード販売やオンライン講座では、対応OS・推奨ブラウザ・必要な通信環境を書いておきます。

規則23条7号は、2回以上継続して契約を締結する必要があるときに、その旨と金額、契約期間その他の販売条件を求めています。期間の定めのない定期購入について、Q&Aは、総額を表示できないため半年分や1年分などまとまった単位の価格を目安として示し、その期間が契約期間と誤認されないよう目安であることを明確にしたうえで、解約通知がない限り継続する無期限契約である旨を認識しやすく示す必要があるとしています。

返品特約の書き方 — 書かないと8日間の返品権が発生する

返品特約を表示しない場合に8日間の法定返品権が発生することを示す図

通信販売にクーリング・オフの規定はありません。代わりに置かれているのが法第15条の3です。購入者は、商品の引渡し(特定権利の移転)を受けた日から起算して8日を経過するまでの間、売買契約の申込みの撤回または解除ができます。返送に要する費用は購入者の負担ですが(同条2項)、事業者は理由を問わず返品を受けることになります。

この法定の返品権は、販売業者が申込みの撤回等についての特約を広告に表示していた場合には適用されません。返品特約を書くかどうかは、8日間の無条件返品を背負うかどうかの分かれ目です。

「その都度ご相談に応じます」は不可

Q&Aは、「返品についてはその都度御相談に応じます」では購入前に返品の可否を告げたことにならないとして、(A)返品に応じる場合と応じない場合をそれぞれ複数例示する、(B)「◯◯の場合以外は返品に応じます」と除外例を示す、のいずれかを挙げています。B案に沿った記載例です。

返品・交換について お客様のご都合による返品は、商品到着後8日以内にメールでご連絡いただいた、未開封・未使用の商品に限りお受けします。返送料はお客様のご負担となります。 ただし、食品・化粧品・下着など衛生上の理由から再販売できない商品、およびオーダーメイド商品については返品をお受けできません。 商品の破損・汚損・誤配送があった場合は、商品到着後8日以内にご連絡ください。当社負担で交換または返金いたします。

返品を受け付けない場合も書く

「返品不可なら書かなくてよい」は誤解です。Q&Aは、契約内容に適合している商品について返品を認めない場合にはその旨を広告に明示することが必要とし、「商品に欠陥がある場合を除き、返品には応じません。」という表示を例示しています。書かなければ8日間の返品権が復活するので、返品不可の店ほど明記が重要です。

不良品の扱いは返品特約とは別の話

規則23条5号は、引き渡された商品が種類または品質に関して契約の内容に適合しない場合の販売業者の責任について定めがあるときは、その内容の表示を求めています。返品特約は「良品を返せるか」、こちらは「不良品のときにどこまで責任を負うか」で、性質が違います。返品特約の表示についてのガイドラインは、両者の区別がつかない表示の場合、良品についての返品特約のみを定めたものと民事上も解され、不良品についての責任は民商法の一般原則によると説明しています。見出しを分けて書きましょう。

表示方法とネット通販の追加要件

施行規則第24条第3号は、申込みの撤回・解除に関する事項を「顧客にとつて見やすい箇所において明瞭に判読できるように表示する方法その他顧客にとつて容易に認識することができるよう表示すること」と定めています。ガイドラインの要点は次のとおりです。

  • 返品の可否・返品の条件・返品に係る送料負担の有無が重要事項で、他の事項より明瞭に表示する
  • パソコンの場合、標準設定で12ポイント以上の文字、色文字や太字を用いるなどの措置
  • 価格や電話番号など消費者が必ず確認する箇所の近くに置き、「返品に関する事項」といった表題で他の記載と区別する
  • 「ご利用ガイド」等の共通ページにまとめる方法も可。ただし各商品ページに「返品不可」「到着後◯日以内に限り返品可」等の重要事項を表示し、どのページからもタブ等で共通ページに到達できることが前提
  • 極めて小さな文字、膨大なスクロールの末、購入規約の何十条もの条項に埋もれた表示は不可

さらに法第15条の3第1項ただし書は、電子消費者契約に該当する場合等については、広告に表示し、かつ広告以外の方法でも表示していた場合に特約が優先するとしています。Q&Aはこれを、インターネット通信販売では広告に明記し、かつ最終確認画面にも特約を明記していた場合と説明しています。表記ページにだけ書いて注文確認画面に書いていないと、せっかくの返品特約が効かない可能性があるということです。

住所・電話番号を出したくないとき — 個人事業主の実務

個人事業主が自宅住所やバーチャルオフィスの住所をどう扱うかを整理した図

自宅で開業している個人事業主にとって、ここが最大の悩みどころです。Q&Aは、住所・電話番号の表示はトラブルや問合せへの対応に備えるためのものだとしたうえで、住所は現に活動している住所、電話番号は確実に連絡が取れる番号を表示する必要があるとしています。私書箱については、特定商取引法の「住所」は営業上の活動の拠点となる場所を指すため、私書箱を表示しても住所を表示したことにはならないと明確に否定されています。

方法概要注意点
自宅住所を表示する最も確実で、審査も通りやすい住所と本名が公開される
省略の特例を使う「請求があれば遅滞なく提供する」旨を表示実際に請求へ応じる体制が必要。モールや決済会社が独自に表示を求める場合がある
バーチャルオフィス等を利用する事業用の住所と電話番号を借りるQ&Aが示す条件を満たす必要がある

省略の特例について、Q&Aは、消費者からの請求によって広告表示事項を記載した書面または電子メール等を「遅滞なく」提供することを広告に表示し、かつ実際に請求があった場合に遅滞なく提供できる措置を講じているときは、氏名(名称)・住所・電話番号の表示を省略することも可能としています。ここでいう「遅滞なく」とは、取引実態に即して、申込みの意思決定に先立って十分な時間的余裕をもって提供されることです。注文後に送っても遅い、という意味なので、一文を置いて終わりではなく、申込み前に届く速度で返す運用まで含めて要件になります。

バーチャルオフィスやプラットフォームの住所を使う方法についてもQ&Aは、次の措置が講じられ住所・電話番号の要件が満たされる場合には特定商取引法の要請を満たすものと考えられるとしています。

  • プラットフォーム事業者の住所を表示する場合、その個人事業者の取引の活動が、当該プラットフォーム上で行われること
  • その住所・電話番号が取引の連絡先としての機能を果たすことについて、個人事業者と運営事業者の間で合意がなされていること
  • 運営事業者が、その個人事業者の現住所および本人名義の電話番号を把握しており、両者の間で確実に連絡が取れる状態となっていること

そのうえで、いずれかが不誠実で消費者から連絡が取れない事態が発生する場合には、表示義務を果たしたことにはならないと釘が刺されています。住所を貸すだけの安価なプランでは条件を満たさないことがあるため、契約前に「特定商取引法の表記に使えるか」「電話の取次があるか」を確認してください。選び方はバーチャルオフィスの選び方にまとめています。

表示を省略できる場合の正確な条件

法第11条ただし書は、広告に「請求により、これらの事項を記載した書面を遅滞なく交付し、又はこれらの事項を記録した電磁的記録を遅滞なく提供する旨」を表示する場合には、主務省令で定めるところにより一部を表示しないことができると定めています。その「主務省令」が施行規則第25条で、2つの場合に分けています。

前提省略できる範囲省略できないもの
価格・送料・その他の負担金を全部表示しない場合法11条1号〜3号・5号・6号の事項の一部規則23条6号〜10号(動作環境、継続契約、販売数量制限、有料書面の価格、メールアドレス)、および返品特約がある場合の可否・期間その他の条件・引取りや返還の費用負担
負担すべき金銭を全部表示する場合法11条2号・3号・5号・6号の事項の一部上記に加え規則23条4号(送料以外の負担金)。さらに前払いの場合の支払時期、申込み後遅滞なく発送しない場合の引渡時期、契約不適合責任を負わないとする場合の責任に関する事項

読み取れることは3つです。価格を書くなら価格は省略できない(全部書かないか、書くなら対象外という構造)。返品に関する重要部分はどちらの場合も省略できない。そして前払いの店や取り寄せの店は、支払時期と引渡時期を省略できません。ネットショップの大半が前払い決済を含むため、実際に省略できる項目はかなり限られます。

そもそも省略の特例は、紙のチラシなどスペースの限られた広告のために用意された仕組みです。ウェブページは行数の制約がないため、原則としてすべて書くほうが早く、モールや決済代行会社の審査にも通りやすくなります。

最終確認画面の表示義務 — 表記ページだけでは足りない

2022年6月1日に施行された法第12条の6は、申込書面や最終確認画面に、(1)商品・権利・役務の分量、(2)法第11条第1号から第5号までの事項(販売価格、支払時期と方法、引渡時期、申込期間、撤回・解除に関する事項)の表示を義務づけています。2項では、申込みとなることについて誤認させる表示や、これらの事項について誤認させる表示を禁止しています。

通信販売の申込み段階における表示についてのガイドラインは、最終確認画面とは、消費者が画面内の申込ボタン等をクリックすることで契約の申込みが完了する画面を指し、表題の有無や形式を問わないとしています。そのうえで、広告で法第11条に従って表示したとしても、それによって法第12条の6第1項の表示義務を果たしたことにはならないと明言しています。表記ページと最終確認画面は別々に手当てが必要です。効きも重く、法第15条の4により、誤認して申し込んだ消費者は意思表示を取り消すことができます。

形態別の注意点

形態特に注意する点
自社ネットショップフッターから常時到達できる導線。カートの初期テンプレートに不要な欄が残っていないか
ECモール出店モールの入力欄が法定項目を満たしているとは限らない。返品特約は自店の条件で書き、モールの共通ルールと矛盾させない
BtoBサービス法第26条第1項第1号の適用除外に当たるかを検討。個人でも申し込める導線があるなら表示しておく
オンライン講座・情報商材役務の提供時期、動作環境、返品条件を具体的に。効果の断定は誇大広告(法第12条)の問題になり得る
定期購入・サブスク規則23条7号の継続条件と、最終確認画面での分量・総額表示。解約方法を分かりやすい場所に

モールと自社ECの選択はECモールと自社ECの違い・選び方、カートサービスの費用はネットショップの手数料・料金比較に整理しています。

違反した場合 — 行政処分と罰則

第11条の表示義務違反そのものに、いきなり罰金が科されるわけではありません。行政処分から段階的に進む構造です。

違反の内容効果
法11条(広告表示)違反主務大臣による指示(法14条)。従わない、または利益が著しく害されるおそれがあるときは2年以内の業務停止命令(法15条)。指示・命令はいずれも公表される
指示に違反6月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金(法71条2号)
業務停止命令に違反3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金。法人には3億円以下の罰金(法70条3号・法74条)
法12条(誇大広告等)違反100万円以下の罰金(法72条1項1号)
法12条の6違反3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金。法人には1億円以下の罰金(法70条2号・法74条)

現実的なリスクは罰金額より公表です。社名が消費者庁のサイトに載れば検索結果に長く残ります。あわせて、モールの出店規約違反や決済代行会社の利用停止という民間側のペナルティのほうが、事業への影響は早く出ます。

混同されやすい法律との違い

「広告のルール」はいくつもの法律に分かれており、特商法だけ整えても足りません。

法律何を規制するか特商法との関係
景品表示法優良誤認・有利誤認などの不当表示、景品類の上限特商法は「書くべきことを書け」、景表法は「盛るな」。両方かかる
ステマ規制(景表法の告示)2023年10月1日から、広告であることが分からない表示を禁止表記ページの外側、SNSやレビュー施策で問題になる
消費者契約法不当な勧誘による取消し、不当な契約条項の無効返品不可などの条項が無効とされる余地は残る
個人情報保護法個人情報の取得・利用・第三者提供のルール特商法の表記とは別にプライバシーポリシーが必要

要点は景品表示法とステマ規制の基礎消費者契約法とクーリングオフの基礎個人情報保護法の基礎とプライバシーポリシーの作り方で解説しています。

公開前チェックリスト

  • 事業者名が戸籍上の氏名または登記簿上の名称になっているか(屋号だけでないか)
  • 住所は現に活動している住所か。私書箱になっていないか
  • 送料が金額で書かれているか。代引手数料などの金額が入っているか
  • 引渡時期が期間または期限になっているか。「入荷次第」で終わっていないか
  • 前払いなら支払時期が明記されているか
  • 返品特約に、可否・期間・条件・送料負担の4点がそろっているか
  • 返品不可なら「商品に欠陥がある場合を除き、返品には応じません」に相当する記載があるか
  • 不良品(契約不適合)の扱いを、返品特約と分けて書いているか
  • 最終確認画面に、分量・価格・支払時期と方法・引渡時期・申込期間・撤回解除の事項が出ているか
  • 期間限定販売や定期購入があるなら、申込期間・総額・解約方法が誤認なく書かれているか
  • 利用規約・プライバシーポリシーと内容が矛盾していないか

まとめ

特定商取引法に基づく表記を条文から逆算して整備する流れのまとめ

特定商取引法に基づく表記は、ひな形を写す作業ではなく、法第11条と施行規則第23条に自社の取引条件を当てはめる作業です。送料は金額で、引渡時期は期間か期限で、返品特約は可否・期間・条件・送料負担の4点をそろえ、他の記載に埋もれない大きさで書く。返品特約を書かなければ引渡日から8日間の返品権が発生し、ネット通販では最終確認画面にも書いておかないと特約が効かない可能性があります。住所を出したくない場合は省略の特例かバーチャルオフィスという道がありますが、どちらも「実際に連絡が取れる」ことが条件です。

作ったあとの更新も忘れずに。送料や決済手段を変えたのに表記が古いままだと、それ自体が不実の表示につながります。制度の最新状況は消費者庁「特定商取引法ガイド」法改正のページで確認できます(2026年7月時点で、通信販売に関する最新の改正は2022年6月1日施行の令和3年改正です)。

玖柳は自社でウェブ制作や運用を外注してきた「発注する側」の会社です。ネットショップの立ち上げにあたって表記・規約・プライバシーポリシーをどの順番で整え、どこまで制作会社に任せるかといった実務の組み立ては、ご一緒に整理できます(法的な最終判断は専門家と連携します)。お気軽にご相談ください

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よくある質問

特定商取引法に基づく表記には何を書けばいいですか?

書くべき内容は法律で決まっています。特定商取引法第11条が、販売価格(送料が含まれない場合は販売価格と送料)、代金の支払時期と方法、商品の引渡時期、申込みの期間に関する定めがあるときはその内容、申込みの撤回・解除に関する事項の5つを挙げ、6号で残りを主務省令に委ねています。委ねられた先の施行規則第23条が、事業者の氏名(名称)・住所・電話番号、法人がウェブで広告する場合の代表者名または通信販売に関する業務の責任者の氏名、送料以外に負担させる金銭の内容と額、契約不適合責任についての定め、動作環境、2回以上の継続契約が必要な場合の条件、販売数量の制限などを定めています。テンプレートの見出しをなぞるのではなく、この2つの条文に自社の条件を当てはめると漏れがなくなります(2026年7月時点)。

個人事業主でも自宅の住所と電話番号を載せる必要がありますか?

原則として必要です。消費者庁の通信販売広告Q&Aは、住所は現に活動している住所、電話番号は確実に連絡が取れる番号を表示する必要があるとしています。私書箱は営業活動の拠点を示さないため、住所を表示したことになりません。ただし、消費者からの請求によって広告表示事項を記載した書面または電子メール等を遅滞なく提供する旨を広告に表示し、実際に請求があったときに遅滞なく提供できる措置を講じている場合は、氏名(名称)・住所・電話番号の表示を省略することも可能とされています。バーチャルオフィスの住所を使う方法もありますが、同Q&Aが示す条件を満たす必要があります。

返品特約を書かないとどうなりますか?

特定商取引法第15条の3により、購入者は商品の引渡しを受けた日から起算して8日を経過するまでの間、売買契約の申込みの撤回または解除ができます。返送に要する費用は購入者の負担ですが、事業者側は理由を問わず返品を受けることになります。この法定の返品権を制限するには、申込みの撤回等についての特約を広告に表示しておく必要があります。インターネット通販の場合は、広告に明記したうえで、いわゆる最終確認画面にも特約を明記しておく必要があるとされています。

「特商法表記」と「特定商取引法に基づく表示」はどちらが正しいですか?

条文上の言葉は「表示」です。特定商取引法第11条の見出しは「通信販売についての広告」で、条文は事業者が一定の事項を「表示しなければならない」と定めています。「特定商取引法に基づく表記」はカートやモールの管理画面で広く使われている通称で、意味は同じです。ページのタイトルとしてはどちらでも法令違反にはなりませんが、消費者が見つけやすい言葉を使うことが大切です。

BtoBのサービスでも特商法表記は必要ですか?

特定商取引法第26条第1項第1号は、申込者や購入者が営業のためにまたは営業として締結する契約を適用除外としています。したがって純粋に事業者だけを相手にする取引であれば、通信販売の規定は適用されません。ただし、個人でも申し込める形になっていると、適用除外にあたるかどうかは実態で判断されます。判断に迷う場合は表示しておくほうが安全で、決済代行会社の審査でも求められることが多いのが実情です。