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契約・法務

秘密保持契約(NDA)の作り方|記載事項・収入印紙の要否・電子契約での締結

秘密保持契約(NDA)の作り方|記載事項・収入印紙の要否・電子契約での締結

外注先に見積もりを出してもらうために仕様書と顧客データを渡したい。協業の相談で自社の事業計画を見せたい。そんな場面で「まず秘密保持契約(NDA)を」となるものの、ひな型をそのまま送ってよいのか、収入印紙は貼るのか、電子契約で済ませてよいのか、判断に迷うことは少なくありません。

玖柳は制作会社やフリーランスへ実際に発注する側として、案件のたびにNDAを取り交わしています。発注する立場から記載事項を条項単位で分解し、質問の多い「印紙は必要か」「電子で締結してよいか」まで、国税庁・経済産業省・e-Gov法令検索の一次情報にあたって整理します。

※本記事は2026年7月時点で公開されている法令・公表情報をもとにした一般的な整理です。個別の契約書が課税文書に当たるか、条項が意図どおり機能するかは記載内容によって結論が変わります。税務上の判断は所轄の税務署、契約内容の判断は弁護士など専門家にご確認ください。

秘密保持契約(NDA)とは・なぜ必要か

秘密保持契約NDAとは何か

NDA(Non-Disclosure Agreement)は、相手に開示した情報を、決めた目的以外に使わせず、第三者にも渡させないことを約束させる契約です。守秘義務契約・機密保持契約と呼ばれることもありますが、中身は同じものを指します。

役割は2つあります。ひとつは相手に義務を負わせて漏えいを抑止すること。もうひとつは、後述する不正競争防止法上の「営業秘密」として保護を受けるための、秘密として管理していた証拠を残すことです。前者だけを意識してひな型を流用すると、後者の効果を取りこぼします。

締結のタイミングは「情報を渡す前」

渡した後に結んでも、開示済みの情報が対象に入るとは限らず実効性が落ちます。発注側では次のタイミングが多くなります。

  • 見積・提案の依頼前:仕様や社内データを見せて相見積もりを取るとき
  • 業務委託の開始前:業務委託契約書より先に、検討段階でNDAだけ先行させる
  • 協業・共同開発の商談:互いの技術情報や顧客基盤を突き合わせるとき
  • M&A・事業承継の初期検討:意向表明やデューデリジェンスの前(事業承継の進め方)
  • 採用・インターンの受け入れ:選考や就業で社内情報に触れる場合(雇用契約書や誓約書で対応することもあります)

発注側がNDAで守るべきもの

発注側が外部に出す情報は思っている以上に広範囲です。顧客名簿、原価や仕入先、未公開の商品企画、システム構成図やID・パスワード。制作会社に渡す「素材一式」に公開予定日が未定の情報が紛れていることもあります。渡した瞬間にそれらは自社の管理下を離れます。生成AIの利用が広がった今は、渡した情報を相手が外部AIサービスに入力してよいかまで線引きが必要です(生成AIの情報漏洩対策)。

NDAの記載事項を条項ごとに読み解く

NDAに記載する主な事項

まず全体像です。市販のひな型もおおむねこの構成になっています。

条項何を決めるか発注側が特に見る点
秘密情報の定義何が保護対象か口頭情報・電子データを含むか
目的の特定何のために使ってよいか目的が広すぎないか
目的外使用の禁止用途の限定転用・二次利用を封じているか
開示できる範囲誰まで見せてよいか再委託先・専門家の扱い
例外義務を負わない情報立証責任がどちらにあるか
返還・破棄終了時の後始末バックアップ・クラウドの扱い
有効期間・残存条項いつまで守るか契約終了後も続くか
損害賠償・差止め違反時の手当て差止請求を書いているか
準拠法・管轄もめたときの土俵自社所在地の裁判所か
反社会的勢力の排除相手方の属性解除権として書けているか

秘密情報の定義|限定列挙型と包括型

NDAの実効性はほぼここで決まります。書き方は2通りです。

  • 限定列挙型:「別紙に列挙した資料」「マル秘と表示して書面で交付したもの」など対象を絞る型。範囲は明確ですが、表示を忘れた情報が保護されない穴があります。
  • 包括型:「本目的に関連して開示された一切の情報」とする型。取りこぼしは減る一方、範囲が広すぎて「秘密情報と認識できなかった」と争われる余地が残ります。

実務では折衷が現実的です。原則を包括型にしたうえで、「書面・電子データで開示するものは秘密である旨を表示する」「口頭で開示したものは開示後◯日以内に書面で特定して通知する」といった特定手続を添えます。口頭やオンライン会議での開示を含めるかは、明記しないと後で必ず揉める論点です。

目的の特定と目的外使用の禁止

「◯◯システムの開発可否を検討する目的」のように目的を具体的に書くことが、そのまま使用範囲の制限になります。目的が「両者の取引に関する検討」程度だと、事実上あらゆる用途が正当化されかねません。

開示できる範囲|役職員・専門家・再委託先

相手方は社内担当者や顧問弁護士・税理士に情報を共有します。禁止しきると契約が回らないため、「本目的に必要な最小限の役職員に限る」「同等の秘密保持義務を負わせる」「その者の行為について相手方が責任を負う」という条件付き許容が一般的です。落としやすいのは再委託先で、制作会社がデザイナーに再委託する前提なら、再委託先にも同等の義務を承継させる建て付けにしておきます。

例外規定|公知・独自開発・第三者からの適法取得

秘密保持義務を負わない情報として、通常は次が並びます。

  1. 開示の時点ですでに公知であったもの
  2. 開示後に、受領者の責めによらず公知となったもの
  3. 開示の時点ですでに受領者が保有していたもの
  4. 正当な権限を持つ第三者から秘密保持義務を負わずに適法に取得したもの
  5. 開示された情報によらず受領者が独自に開発したもの
  6. 法令・裁判所・行政機関の要求により開示が義務づけられたもの

標準的な条項ですが、発注側としては**「これらに当たることは受領者が立証する」と一文入っているか**を確認します。入っていないと、「独自に開発した」との主張を崩す負担が開示側に寄りかねません。6は、開示前に相手方へ通知する義務を課しておくと実務が回ります。

返還・破棄|クラウドとバックアップを忘れない

契約終了時や要求時に資料を返還または破棄する義務です。紙とUSBだけを想定した古いひな型が多いので、クラウドストレージ、チャットツールの添付ファイル、システムのバックアップまで対象に含めます。バックアップの完全削除が技術的にできない場合に備え、保管を継続しつつ秘密保持義務も継続するという例外を置くと現実的です。

有効期間と残存条項

NDA本体の有効期間(たとえば1年)と、秘密保持義務が続く期間は別物として書き分けます。残存条項を置かないと、契約終了と同時に義務も消える読み方が可能になってしまいます。期間は情報の性質次第で、短期で価値が消えるものは1〜2年、製造ノウハウや顧客名簿のように長く残るものは5年以上とすることもあります。受け取る側に立つときは長すぎる期間を、渡す側に立つときは短すぎる期間を疑うのが基本姿勢です。

損害賠償・差止め、準拠法・管轄、反社条項

損害賠償だけでは漏えいの実損額を立証しにくいため、「差止め(漏えい行為をやめさせる請求)ができる」と明記しておくと被害の拡大を止める手段が確保できます。違約金条項は金額が過大だと争いになり得るので、重要案件では弁護士の確認を。国内取引なら準拠法は日本法、管轄は自社所在地の地方裁判所を第一審の専属的合意管轄とするのが通例です。反社会的勢力の排除条項は、表明保証と解除権をセットで置きます(反社チェックの実務)。

片務型(一方向)と双務型(双方向)の使い分け

秘密保持契約の一方向と双方向の違い

NDAには、義務を一方だけが負う**片務型(一方向)と、双方が負う双務型(双方向)**があります。

片務型(一方向)双務型(双方向)
想定場面発注側だけが情報を渡す互いに情報を出し合う
制作・開発の発注、業務委託協業検討、共同開発、M&A
発注側の立場開示者(守らせる側)開示者かつ受領者
注意点義務を課しすぎて断られないか自社が負う義務が過大でないか

発注側は片務型で「守らせる側」に回ることが多いのですが、打ち合わせを重ねると自社も相手の見積根拠や技術情報を受け取っているのが実情です。片務型のままだと、受け取った情報については何の取り決めもない状態になります。継続的に付き合う相手なら、最初から双務型で結んでおくほうが実務は安定します。

逆に相手から双務型のひな型を提示されたときは、自社が負う義務の側を必ず読みます。目的外使用の禁止が広すぎて自社の通常業務まで縛られないか、有効期間が長すぎないか、損害賠償の上限がないかを確認してください(読み方の基本は契約書の基礎とチェックポイント)。

秘密保持契約書に収入印紙は必要か

発注担当者から最も多く受ける質問です。結論から整理します。

印紙税がかかるのは20種類の課税文書だけ

印紙税は、すべての契約書にかかる税金ではありません。国税庁のタックスアンサーNo.7100「課税文書に該当するかどうかの判断」(令和7年4月1日現在法令等)は、課税文書を次の3つをすべて満たす文書と定義しています。

  1. 印紙税法別表第1(課税物件表)に掲げられている20種類の文書により証されるべき事項(課税事項)が記載されていること
  2. 当事者の間において課税事項を証明する目的で作成された文書であること
  3. 印紙税法第5条(非課税文書)の規定により印紙税を課税しないこととされている非課税文書でないこと

e-Gov法令検索の印紙税法で別表第1を見ると、第1号(不動産の譲渡・消費貸借・運送など)から第20号(判取帳)まで物件名が並びますが、そこに「秘密保持契約書」に相当するものはありません。

したがって、秘密の保持だけを定めたNDAは、上記1の要件を満たさず、課税文書に当たらないため印紙は不要という整理になります。実務でも印紙を貼らない扱いが一般的です。ただし、国税庁がNDAを名指しで「不課税」と示した公表事例は2026年7月時点で確認できていません。課税文書の3要件と課税物件表から導かれる整理である点は押さえておいてください。

名称ではなく中身で判定される

注意が必要なのはここからです。No.7100は、判断は「文書の名称、呼称や形式的な記載文言によるのではなく、その文書に記載されている文言などの実質的な意味を汲み取って行う」とし、さらに「文書の全体を一つとして判断するのみでなく、その文書に記載されている個々の内容に基づいても判断する」としています。表題が「秘密保持契約書」でも、中身に課税事項が入っていれば課税文書になり得るということです。注意すべきパターンは2つあります。

パターン1:業務委託の中身が混ざっている NDAに業務内容・報酬額・納期といった条項を書き足すと、その部分が請負に関する事項を証する記載になり得ます。印紙税法別表第1の通則2は、一の文書に2以上の号の事項が併記・混合記載されている場合はそれぞれの号に該当する文書とすると定めており、請負に該当すれば第2号文書として契約金額に応じ200円(1万円以上100万円以下)からの印紙が必要になります。NDAと業務委託契約書は別文書に分けるのが、税務上もトラブル防止上も無難です。

パターン2:継続的取引の基本契約の要素を含んでいる 1通4,000円と定額で高い第7号文書(継続的取引の基本となる契約書)に該当するケースです。印紙税法施行令第26条第1号に対応する要件を、国税庁は質疑応答事例で次の5つと整理しています。

  1. 営業者の間における契約であること
  2. 売買、売買の委託、運送、運送取扱い又は請負のいずれかの取引に関する契約であること
  3. 2以上の取引を継続して行うための契約であること
  4. 2以上の取引に共通して適用される取引条件のうち目的物の種類、取扱数量、単価、対価の支払方法、債務不履行の場合の損害賠償の方法又は再販売価格のうち1以上の事項を定める契約であること
  5. 電気又はガスの供給に関する契約でないこと

加えて、契約期間が3か月以内かつ更新の定めがないものは第7号文書から除かれます(質疑応答事例「契約期間が3か月を超えるものの判断」)。逆に言えば、期間の定めがないものや、3か月以内でも自動更新条項があるものは除外されません。なお同条第2号は「代理店契約書、業務委託契約書その他名称のいかんを問わず」としつつ、対象を売買に関する業務・金融機関の業務・保険契約の締結の代理もしくは媒介の業務・株式の発行もしくは名義書換えの事務の委託に限定しています。

秘密保持だけを定めたNDAは要件2(売買・請負等の取引に関する契約)を満たさないため、第7号文書に該当しにくい構造です。問題になるのは、取引基本契約書に秘密保持条項を組み込んだ形や、逆に秘密保持契約書の中へ継続的な発注の基本条件を書き込んだ形で、この場合は表題にかかわらず第7号文書に該当し得ます。なお「秘密保持義務に違反した場合の損害賠償」を定めているだけで直ちに要件4を満たすとは限りませんが(要件4は売買・請負等の債務不履行を想定した規定です)、書きぶり次第で評価が分かれ得るため断定は避けるべき領域です。

迷ったときの実務対応

判断に迷う文書は所轄の税務署に事前相談するのが確実です。貼り忘れのペナルティは軽くありません。印紙税法第20条は、納付すべき印紙税を納付しなかった場合、その税額とその2倍に相当する金額との合計額(合計3倍)の過怠税を徴収すると定めています(調査による決定を予知せず自主的に申し出た場合は1.1倍)。印紙税の全体像は契約書の印紙税(収入印紙)とはをご覧ください。そして最も確実な回避策が、次に述べる電子契約です。

電子契約でNDAを締結する

NDAは電子契約と相性の良い契約です。締結の頻度が高く、金額の記載がなく、スピードが求められるためです。

電子データには印紙税の課税原因が生じない

国税庁の質疑応答事例「取引先にメール送信した電磁的記録に関する印紙税の取扱い」(令和7年8月1日現在の法令・通達等に基づくと注記)は、次のとおり回答しています。

印紙税の課税対象となるのは、課税物件表の物件名欄に掲げられている文書であり、電磁的記録は文書に含まれません。したがって、おたずねの電磁的記録に印紙税は課税されません。

正確には「電子契約は非課税」ではなく、印紙税法第2条が課税対象とする「文書」に電磁的記録が入っていないため、そもそも課税の入口に入らないという構造です。第7号文書に該当し得る基本契約でも、電子で締結すれば印紙は不要になります。

落とし穴:あとから紙の原本を渡すと課税される

福岡国税局の文書回答事例では、注文請書を電磁的記録に変換して電子メールで送信した場合について、現物の交付がない以上は課税文書を作成したことにならないという照会者の見解が認められています。ただし同事例の別紙には、電子メールで送信した後に現物を別途持参するなどの方法で相手方に交付した場合には課税文書の作成に該当するとの記載があります。

つまり、「電子で締結したので印紙は不要」と言いながら、念のため紙の原本も郵送するという二重運用をすると、紙の側が課税対象になり得ます。電子で始めたら変更契約や覚書も電子で通すのが原則です。なお受け取った電子契約を自社で印刷しただけの文書は、No.7120「契約書の写し、副本、謄本等」のとおり写しと同様に扱われ課税対象になりません(印刷物に当事者双方が改めて押印すると評価が変わります)。

法的な有効性と保存義務

電子で結んだNDAの効力を心配する声もありますが、電子署名法(e-Gov法令検索)第3条は、本人による電子署名が行われている電磁的記録について真正に成立したものと推定すると定めています(詳しくは電子契約は法的に有効?)。一方で電子帳簿保存法(e-Gov法令検索)第7条により、電子取引を行った場合は取引情報に係る電磁的記録を保存しなければなりません。印紙税が浮く代わりに、データ保存の要件を満たす運用が必要になります(電子帳簿保存法への対応)。

サービス選びは電子契約サービスの比較と選び方で送信単価や方式の違いを比較しています。NDAのように相手方に負担をかけたくない契約では、受信側にアカウント登録を求めない方式かどうかが選定の分かれ目です(国内で導入例の多いサービスはクラウドサインの評判・特徴をご覧ください)。

不正競争防止法の「営業秘密」との関係

NDAを結ぶ本当の狙いは、契約違反を問えることだけではありません。不正競争防止法上の「営業秘密」として法的保護を受けられる状態をつくることにあります。

e-Gov法令検索の不正競争防止法第2条第6項は、営業秘密を「秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないもの」と定義しています。ここから、秘密管理性・有用性・非公知性の3要件が導かれます。

  • 秘密管理性:秘密として管理する意思が管理措置によって従業員や取引先に示され、相手が認識できる状態になっていること
  • 有用性:客観的にみて事業活動に有用であること(失敗した研究データなども含まれます)
  • 非公知性:一般的に知られておらず、又は容易に知ることができないこと

経済産業省の営業秘密管理指針(平成15年1月30日策定、最終改訂:令和7年3月31日)は、秘密管理性の有無は法人ごとに判断されるとしたうえで、別法人と情報を共有する場面について「具体的には、営業秘密を特定した秘密保持契約(NDA)の締結により自社の秘密管理意思を明らかにする場合が典型的」と述べています(関連資料は経済産業省の営業秘密のページから)。

ここで効いてくるのが「営業秘密を特定した」という部分です。範囲が曖昧なNDAを1通交わしただけでは、秘密管理意思を示したと言い切れない可能性があります。開示資料へのマル秘表示、送り状での特定、アクセス権限の限定といった社内側の措置とセットにして、はじめて実効性を持ちます(社内の情報管理は情報セキュリティ対策、個人データを含む場合は個人情報保護法の基礎)。

発注側がやりがちな失敗と締結のポイント

NDA締結のポイントと注意点

発注現場で繰り返し見かける失敗を挙げます。

1. NDAだけ交わして業務委託契約書を作らない NDAが守るのは情報の取り扱いだけで、業務範囲・納期・報酬・検収基準・成果物の権利の帰属・再委託の可否は一切カバーしません。「NDAは結んだので大丈夫」と思ったまま作業が始まり、納品物の著作権の帰属でもめる、というのが典型的な流れです。NDAは入口、業務委託契約書が本体と考えてください。

2. 秘密情報の特定が曖昧なまま運用する 包括型のひな型を使いながら、実際の資料にはマル秘表示も送り状もない。これでは「どれが秘密情報か特定できない」と反論されかねません。定義条項の型と日々の渡し方を一致させます。

3. 有効期間が短すぎる・残存条項がない 「有効期間1年」とだけ書かれたNDAは珍しくありません。1年後に情報の価値が消えるとは限らないのに、義務だけ先に終わってしまいます。

4. 再委託先に義務を承継させていない 情報は再委託先まで流れているのに、NDAは元請けとの間にしかない状態です。再委託の可否、同等の義務を負わせる旨、その履行について元請けが責任を負う旨をセットで規定します(外注の進行管理)。

5. 押印待ちで情報開示が先行する 「NDAは取り交わし中なので、先に資料を送ります」。最も多く、最も危険なパターンです。電子契約なら締結は数分で終わります。開示の前に締結を終える運用を電子化とセットで定着させてください。

6. 一度作ったひな型を見直さない 生成AIの業務利用やクラウド、テレワークなど情報の流れ方は数年で変わります。返還・破棄条項がUSBメモリしか想定していないひな型は、今の実態に合っていません。年に一度は棚卸しを。

NDAチェックリスト

締結前に、次の項目を確認してください。

  • 情報を渡すに締結できるスケジュールになっているか
  • 秘密情報の定義に、口頭情報・電子データ・オンライン会議での開示が含まれているか
  • 目的が具体的に特定されているか(広すぎないか)
  • 目的外使用の禁止が明記されているか
  • 開示できる相手の範囲と、再委託先への義務承継が規定されているか
  • 例外規定が置かれ、該当することの立証責任が受領者側にあるか
  • 返還・破棄の対象にクラウド・バックアップが含まれているか
  • 契約期間と秘密保持義務の存続期間が書き分けられているか
  • 損害賠償に加えて差止めが書かれているか
  • 準拠法・管轄・反社条項が入っているか
  • 片務型と双務型のどちらが自社の立場に合っているか
  • 業務委託の条件(報酬・納期・業務内容)を混ぜていないか(印紙税の観点)
  • 電子契約で締結する場合、紙の原本を別途交付しない運用になっているか
  • マル秘表示・アクセス制限など、社内の秘密管理措置とセットになっているか

まとめ

秘密保持契約NDAのまとめ

秘密保持契約(NDA)は、情報を渡す前に結ぶ「情報を守る約束」であり、同時に不正競争防止法上の営業秘密として保護されるための土台です。発注する側の要点は4つです。

  • 秘密情報の定義と有効期間が実効性を左右する。包括型と限定列挙型を折衷し、口頭情報の扱いと残存条項を明記する
  • 収入印紙は原則不要。課税文書は印紙税法別表第1の20種類に限られ、そこに秘密保持契約書はない。ただし判断は名称ではなく中身で行われるため、業務委託の条件や継続的取引の基本条件を混ぜない
  • 電子契約なら印紙税の課税原因が生じない。電磁的記録は印紙税法上の「文書」に含まれないため。ただし紙の原本を別途交付する二重運用は避ける
  • NDAは入口、業務委託契約書が本体。両方を揃え、再委託先まで義務を届かせる

税務上の判断に迷う文書は所轄の税務署へ、条項の有効性や損害賠償の設計は弁護士へご確認ください。最新の取扱いは国税庁・経済産業省の公式情報が一次情報です。

外注・協業まわりの契約と情報管理を実務が回る形に整理したい場合は、発注する側の実感をふまえて一緒に組み立てられます(専門的判断は専門家と連携します)。まずはご相談ください。発注条件の整理からなら発注書ジェネレーターもご利用いただけます。

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よくある質問

秘密保持契約(NDA)に収入印紙は必要ですか?

印紙税がかかるのは印紙税法別表第1に掲げられた20種類の課税文書だけで、そこに「秘密保持契約書」という物件名はありません。秘密の保持だけを定めたNDAは、実務上は課税文書に当たらず印紙不要として扱われています。ただし国税庁は文書の名称ではなく記載内容の実質で判断するとしており、業務内容や報酬を書き込むと請負に関する契約書(第2号文書)、継続的な取引の基本条件を定めていると継続的取引の基本となる契約書(第7号文書・1通4,000円)に該当する可能性があります。判断に迷う文書は所轄の税務署にご確認ください。

秘密保持契約(NDA)とは何ですか?いつ結びますか?

業務委託・商談・協業などで相手に渡した秘密情報を、決めた目的以外に使わせず、第三者にも開示させないことを約束させる契約です。締結は必ず情報を渡す前に行います。渡した後に結んでも、すでに開示済みの情報が保護の対象に入るとは限りません。見積依頼の前、業務委託契約の前、協業やM&Aの初期検討時が代表的なタイミングです。

NDAには何を書けばよいですか?

秘密情報の定義、目的外使用の禁止、開示できる範囲(役職員・専門家・再委託先)、義務を負わない例外(公知・独自開発・第三者からの適法取得など)、返還と破棄、有効期間と残存条項、損害賠償と差止め、準拠法と管轄、反社会的勢力の排除が基本セットです。中でも「何が秘密情報か」の定義と「有効期間」が実効性を左右します。

NDAは電子契約で締結してもよいですか?

一般に問題ないと考えられています。電子署名法第3条は、本人による電子署名が行われた電磁的記録について真正な成立を推定すると定めています。さらに国税庁は質疑応答事例で「電磁的記録は文書に含まれません」としており、電子データで締結したNDAには印紙税の課税原因が生じません。ただし電子で送ったあとに紙の原本を別途相手に交付すると、その紙は課税文書になり得るため二重運用は避けてください。

NDAを結べば業務委託契約書は不要ですか?

不要にはなりません。NDAが守るのは情報の取り扱いだけで、業務範囲・納期・報酬・検収・成果物の権利の帰属・再委託の可否といった発注条件は対象外です。NDAは検討段階の入口、業務委託契約書は取引の本体と考え、両方を揃えてください。取適法やフリーランス法の対象取引では、契約書とは別に発注条件の明示が法律上の義務になる点にも注意が必要です。