法人の決算・申告の基本|流れ・必要書類・スケジュールと税理士の役割
法人を経営するうえで、毎年必ず行うのが決算と税務申告です。法人税の申告期限は原則として事業年度終了の日の翌日から2か月以内と決まっており、過ぎると加算税・延滞税の対象になります。個人の確定申告より書類が複雑なため、流れとスケジュールを早めに把握しておくことが欠かせません。
この記事では、法人の決算・申告の全体像・流れ・必要書類・申告する税金・スケジュール・税理士の役割を、中小企業の経営者向けに解説します。
※税務の手続き・期限・要件は改定されます。最新・正確な内容は国税庁または税理士にご確認ください。
法人の決算・申告とは

事業年度(1年間)の業績を確定させ、利益と税額を計算して申告・納税する手続きです。決算書の作成(会計)と、法人税などの税務申告の両方が必要になります。個人の確定申告より書類が専門的で、別表(べっぴょう)と呼ばれる計算明細の作成も求められるため、実務では税理士に依頼するのが一般的です。
決算・申告の全体の流れ

- 日々の記帳(1年分の取引を正確に)
- 決算整理(在庫・減価償却・経過勘定などの調整)
- 決算書の作成(貸借対照表・損益計算書など)
- 税務申告書の作成(法人税・消費税・地方税)
- 株主総会などの承認(決算の確定)
- 申告・納税(期限内に)・帳簿書類の保管
日々の記帳が正確であるほど、決算はスムーズです。会計ソフトで記帳を整えておきましょう。
必要な書類(主なもの)

- 帳簿(総勘定元帳など)
- 決算書(貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書 など)
- 勘定科目内訳明細書
- 法人税・消費税・地方税の申告書類(別表を含む)
- 法人事業概況説明書 など
帳簿や決算書類には保存義務があります(原則7年。詳細は国税庁タックスアンサーNo.5930「帳簿書類等の保存期間」)。決算書の見方を確認したい場合は決算書の読み方もあわせてご覧ください。
法人が申告・納税する主な税金

法人の申告は、1つの税金で終わりではありません。利益(所得)に応じて、おもに次の税金を申告・納税します。
| 税金 | 区分 | ざっくりした性格 |
|---|---|---|
| 法人税 | 国税 | 会社の所得(利益)にかかる中心的な税金 |
| 地方法人税 | 国税 | 法人税額をもとに計算して国に納める |
| 消費税・地方消費税 | 国税・地方税 | 課税事業者が申告・納税(免税事業者は対象外の場合あり) |
| 法人住民税 | 地方税 | 「均等割」は赤字でも一定額がかかる |
| 法人事業税 | 地方税 | 会社の所得などにかかる地方税 |
ポイントは、法人税が赤字(欠損)でも、法人住民税の均等割は納める必要があることです。資本金1億円超の大法人は、これらの申告について電子申告(e-Tax)が義務化されています(後述)。消費税の取り扱いはインボイス制度への対応もあわせて確認しておきましょう。
※制度・金額・税率は2026年6月時点の情報です。改正により変わるため、最新は国税庁等の公表情報でご確認ください。
中小法人の法人税率と計算例

法人税の中心となる税率は、資本金1億円以下の中小法人(普通法人)の場合、所得の金額に応じて次のように区分されています。
| 所得(年) | 中小法人の法人税率 |
|---|---|
| 800万円以下の部分 | 15%(※令和7年4月1日以後に開始する事業年度。所得が年10億円超の場合は17%) |
| 800万円を超える部分 | 23.2% |
(出典:国税庁タックスアンサーNo.5759「法人税の税率」)
※制度・金額・税率は2026年6月時点の情報です。改正により変わるため、最新は国税庁等の公表情報でご確認ください。
たとえば、所得が1,000万円の中小法人の法人税額(本税)は、おおよそ次のように計算できます。
- 800万円以下の部分:800万円 × 15% = 120万円
- 800万円を超える部分:200万円 × 23.2% = 46.4万円
- 合計の法人税額 = 約166.4万円
実際には、これに地方法人税・法人住民税・法人事業税が加わり、税額控除などの調整も入ります。正確な税額は会社の状況によって変わるため、最終的な計算は税理士・税務署で確認してください。節税の考え方は節税対策の基本も参考になります。
スケジュール・期限

- 法人税・地方法人税の申告・納税:原則、各事業年度終了の日の翌日から2か月以内(3月決算なら5月31日)
- 消費税・地方税:あわせて申告・納税
- 決算日(事業年度末)から逆算して、早めに準備を始める
定款の定めなどにより決算が確定せず期限までに申告できない場合は、「申告期限の延長の特例」の申請で申告期限を1か月延ばせます。ただし、延長されるのは申告期限だけで、納税の期限は延びません。延長する場合も、本来の期限(原則2か月以内)までに見込み額を納付しておくのが基本です。
期限を過ぎるとペナルティ(加算税・延滞税)が生じることがあります。決算日から2か月を意識してスケジュールを組みましょう。申告・納税の基本ルールは国税庁「申告と納税」のページで確認できます。
電子申告(e-Tax)の義務化

国税庁では、一定の大法人について電子申告(e-Tax)を義務化しています。
- 対象:事業年度開始の時の資本金の額(出資金の額)が1億円を超える内国法人など
- 対象税目:法人税・地方法人税、消費税・地方消費税(地方税の法人住民税・法人事業税も電子申告が義務化)
- 適用:令和2年(2020年)4月1日以後に開始する事業年度から
資本金1億円以下の中小法人は義務化の対象外で、電子申告は任意です。ただし、書面より手続きがスムーズになるため、中小法人でもe-Taxの利用が広がっています。詳しくは国税庁・e-Tax「大法人の電子申告の義務化について」をご確認ください。
※制度・金額・税率は2026年6月時点の情報です。改正により変わるため、最新は国税庁等の公表情報でご確認ください。
税理士の役割

法人の決算・申告は専門性が高く、税理士に依頼するのが一般的です。税理士は次を担います。
- 決算書・申告書類(別表を含む)の作成
- 節税の提案(節税対策)
- 税務調査への対応
- 経営・資金繰りの相談
費用や選び方は確定申告を税理士に依頼するガイドも参考になります(法人決算は顧問契約が一般的です)。また、法人税額に直結する役員報酬の決め方は原則として事業年度開始から3か月以内にしか変更できないため、決算が終わった早い時期に税理士と検討しておきましょう。
注意点・よくある失敗

- 赤字でも申告は必要:法人税がゼロでも、法人住民税の均等割は納付が必要です。「赤字だから申告しなくてよい」は誤りです。
- 期限ギリギリの着手:申告期限は決算日から2か月と短く、別表の作成にも時間がかかります。決算月が見えたら早めに動きましょう。
- 延長=納税も延びる、という誤解:申告期限を延長しても納税期限は延びません。見込み納付を忘れると延滞税の対象になります。
- 記帳の放置:1年分をまとめて処理すると、ミスや漏れが増えます。月次でこまめに記帳しておきましょう。
日々の準備(決算を楽にするコツ)

決算は「一年の集大成」です。日々の積み重ねが、スムーズな決算につながります。
まとめ

法人の決算・申告は、①記帳 → ②決算整理 → ③決算書作成 → ④申告書作成 → ⑤承認 → ⑥申告・納税という流れで進みます。申告期限は原則事業年度終了から2か月以内で、申告する税金は法人税・地方法人税・消費税・法人住民税・法人事業税など複数にわたります。中小法人の法人税率は所得800万円以下の部分が15%、超える部分が23.2%が目安です。専門性が高いため税理士への依頼が一般的ですが、日々の記帳を会計ソフトで整えておくことが、決算をスムーズにする最大のコツです。
なお、本記事の税率・期限・制度は2026年6月時点の情報です。改正により変わるため、最終的な税額や手続きは、必ず税理士・税務署・国税庁の最新情報でご確認ください。
「決算・申告の体制づくりや、会計・税理士との連携を相談したい」場合は、バックオフィス全体の視点で一緒に整えられます。お気軽にご相談ください。
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よくある質問
法人の決算・申告とは?
事業年度(1年間)の業績を確定させ、利益と税額を計算して、法人税・消費税などを申告・納税する手続きです。法人税の申告期限は、原則として事業年度終了日の翌日から2か月以内です。決算書の作成と税務申告の両方が必要になります。
法人税の申告期限はいつまでですか?
原則として、各事業年度終了の日の翌日から2か月以内です。3月決算の会社なら5月31日が期限です。定款の定めなどで決算が確定しない場合は「申告期限の延長の特例」で1か月延長できますが、延びるのは申告だけで、納税は本来の期限(原則2か月以内)までに行う必要があります。
法人ではどんな税金を申告・納税しますか?
おもに、法人税・地方法人税(国税)、消費税・地方消費税、法人住民税・法人事業税(地方税)です。利益(所得)に対してかかる法人税のほか、赤字でも一定額がかかる法人住民税の均等割などがあります。資本金1億円超の大法人はe-Taxによる電子申告が義務化されています。
法人の決算・申告は自分でできる?
不可能ではありませんが、法人税の申告は個人の確定申告より複雑で、別表などの専門的な書類作成が必要です。実務では税理士に依頼するのが一般的です。会計ソフトで日々の記帳を整えておくと、決算・申告がスムーズになります。
決算で必要な書類は?
総勘定元帳などの帳簿、決算書(貸借対照表・損益計算書など)、勘定科目内訳明細書、法人税・消費税・地方税の申告書類などが必要です。日頃から正確に記帳しておくことが、決算をスムーズに進める前提になります。