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個人事業主の経費はどこまで?経費にできるもの一覧と家事按分の考え方

個人事業主の経費はどこまで?経費にできるもの一覧と家事按分の考え方

「この支払いは経費にできるのか」——個人事業主・フリーランスが毎年必ず悩むのが経費の線引きです。経費を正しく計上できれば所得が圧縮され、適正な節税につながります。逆に「なんでも経費」にすると税務調査で否認され、追徴課税のリスクを抱えます。

結論から言うと、経費にできるかどうかは**「その支出が事業の売上を得るために必要か(事業との関連性)」**で決まります。本記事では、経費にできる基準・勘定科目の一覧・自宅兼事務所の家事按分の計算例・経費にできないもの・高額な備品の扱い・領収書の保存までを、国税庁の情報をもとに実務目線で整理します。

※税務の取り扱いは個別事情で異なり、改定もあります。判断に迷う場合は税理士・税務署に相談し、最新は国税庁でご確認ください。

経費(必要経費)にできるかの基準

個人事業主の支出を事業との関連性がある経費と私的支出に分けて判断する図

経費にできるかは、**「その支出が事業の売上を得るために必要か(事業との関連性)」**で判断します。国税庁のタックスアンサーNo.2210「やさしい必要経費の知識」では、必要経費に算入できる金額を次のように示しています。

  1. 総収入金額に対応する売上原価その他、その総収入金額を得るために直接要した費用の額
  2. その年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用の額

つまり、商品の仕入れのように売上に直接ひもづく費用と、家賃・通信費・広告費のように事業全体を回すための費用が必要経費です。事業に関係する支出は経費、プライベートな支出は経費になりません。事業と私用が混ざる支出は、後述の家事按分で事業分だけを計上します。

経費にできるものの例(勘定科目一覧)

個人事業主が経費にできる地代家賃・水道光熱費・通信費・消耗品費・旅費交通費・外注工賃などの勘定科目を整理する図

代表的な勘定科目と具体例は次のとおりです。同じ支払いでも事業内容によって科目が変わることがあります。

勘定科目
地代家賃事務所家賃、自宅兼事務所の按分
水道光熱費電気・ガス・水道(按分する場合あり)
通信費スマホ・ネット回線・切手(按分する場合あり)
消耗品費文具、10万円未満の備品
旅費交通費電車・タクシー・出張の宿泊費
接待交際費取引先との打合せ飲食・贈答品
広告宣伝費広告出稿、チラシ、Webサイト制作費
外注工賃業務の一部を外部に発注した費用
支払手数料振込手数料、各種サービス利用料
新聞図書費業務に関する書籍・新聞・有料記事
減価償却費10万円以上の備品・機械などの取得費

※どの科目で処理するかは事業内容で変わります。迷ったら会計ソフトの科目提案や税理士に確認しましょう。

家事按分(自宅兼事務所などの考え方と計算例)

自宅兼事務所の家賃・光熱費・通信費を面積や使用時間で家事按分し事業使用分だけ経費にする図

自宅で仕事をしている場合、家賃・光熱費・通信費などのうち事業に使っている割合分だけを経費にできます。これが家事按分です。タックスアンサーNo.2210は、家事と業務の両方に関わる費用(家事関連費)について、**「業務遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる場合のその区分できる金額に限られる」**と説明しています。店舗併用住宅の家賃・水道光熱費などが例として挙げられています。

按分の代表的な基準は次のとおりです。

  • 家賃・地代家賃:仕事に使う部屋の面積の割合などで按分
  • 水道光熱費:仕事に使う時間・コンセント数・面積などで按分
  • 通信費:事業利用の時間や回数の割合などで按分
  • 共通のポイント:按分の根拠(計算方法)を記録し、説明できるようにしておく

計算例(あくまで一例)

家賃12万円のうち、3部屋(うち1部屋を仕事専用、ほぼ同じ広さ)の自宅で1部屋を使っているケースを考えます。

  • 事業使用割合 = 1部屋 ÷ 3部屋 ≒ 33%
  • 経費にできる家賃 = 12万円 × 33% = 月3.96万円(年約47万円)

この「33%」が、面積比という合理的な根拠にもとづいて区分できる金額にあたります。割合は実態に合わせて決め、根拠を残しておくことが大切です。実態とかけ離れた高い割合は否認の原因になります。

経費にできないもの・注意点

個人事業主の経費にできない私的な飲食・趣味の買い物・親族への対価・所得税や住民税などを注意点として整理する図

経費にできないものの代表例です。

  • プライベートな支出(私的な飲食・衣服・趣味の買い物など)
  • 生計を一にする配偶者その他の親族への対価:タックスアンサーNo.2210は、生計を一にする親族に支払う地代家賃や給与賃金は必要経費にならないと明記しています。ただし青色申告で事前に届け出た青色事業専従者給与は、一定の要件を満たせば経費にできる例外です。
  • 所得税・住民税:事業の経費にはなりません(事業税や固定資産税の事業分などは租税公課になり得ます)
  • 事業と無関係な支出

「なんでも経費」にすると、税務調査で否認され追徴のリスクがあります。事業との関連性を説明できる範囲にとどめましょう。

高額な備品は「少額減価償却資産」で考える

パソコンや機械など高額備品を取得価額に応じて一括経費・一括償却資産・少額減価償却資産の特例・減価償却で考える図

パソコンや機械など10万円以上の備品は、原則として一度に経費にせず減価償却で複数年に分けて計上します。ただし金額に応じた特例があります。国税庁タックスアンサーNo.2100「減価償却のあらまし」をもとに整理します。

取得価額取り扱い(目安)
10万円未満全額をその年の必要経費にできる
10万円以上20万円未満一括償却資産として3年で均等に経費化できる(選択可)
30万円未満(青色申告者の特例)年間合計300万円まで、その年の必要経費にできる
30万円以上原則どおり耐用年数で減価償却

「30万円未満」の特例(中小企業者等の少額減価償却資産の特例)は、一定の要件を満たす青色申告者が対象で、適用期限が定められています(これまで期限の延長が繰り返されてきました)。期限・上限額は改正で変わるため、適用前に必ず国税庁の最新情報を確認してください。

※制度・金額・税率は2026年6月時点の情報です。改正により変わるため、最新は国税庁等の公表情報でご確認ください。

領収書の保存と会計ソフトでの管理

領収書や請求書をスマホで読み取り会計ソフトへ連携し帳簿とクラウド保存で管理する図

経費は証拠書類の保存とセットです。保存期間の目安は申告方法で異なります。

  • 白色申告:収入金額や必要経費を記載した法定帳簿は7年、任意帳簿や領収書・請求書などの書類は5年が目安(国税庁の記帳・帳簿等保存制度より)
  • 青色申告:帳簿・領収書などの書類は原則7年保存(一部は5年)
  • 電子取引データ:電子帳簿保存法に沿って電子保存が必要

会計ソフトでカード連携・レシート読取を使えば、経費の入力と保存をまとめて自動化できます(経費精算システムの活用も有効)。事業用の法人カード(個人事業主向けも可)で支払いを一本化すると、何が事業の支出かが明確になり、家事按分の判断や集計もぐっと楽になります。

判断に迷いやすい科目の早見表

自宅家賃・スマホ代・会食・昼食・仕事用の服・書籍・健康診断・社会保険料・税金など迷いやすい支出を経費や按分や控除で判断する図

線引きに悩みやすい支出を一覧にしました。最終判断は事業との関連性と按分の根拠次第です。

支出経費の可否(目安)
自宅兼事務所の家賃・光熱費事業使用分を家事按分して経費
スマホ・自宅ネット代事業使用分を家事按分して経費
取引先との会食事業に関係すれば接待交際費として経費
一人で食べた昼食原則経費にならない(私的支出)
仕事用のスーツ・服原則経費にならない(私服と区別が難しい)
業務に必要な書籍・セミナー経費(新聞図書費・研修費など)
健康診断・人間ドック原則経費にならない(個人事業主本人分)
国民健康保険料・国民年金経費にならないが、申告で社会保険料控除の対象
所得税・住民税経費にならない

健康保険料や年金は経費ではありませんが、確定申告の所得控除で差し引けます。経費と控除を混同しないことが、正しい申告のポイントです。

まとめ

個人事業主の経費判断として事業との関連性・勘定科目・家事按分・高額備品・領収書保存・会計ソフト管理をまとめる図

経費にできるかは「事業との関連性」で判断します。国税庁は必要経費を、売上原価など直接要した費用と、その年の販売費・一般管理費その他業務上の費用としています。家賃・光熱費・通信費などは家事按分で事業分を区分し、根拠を残しておきましょう。生計を一にする親族への対価や私的支出は原則経費にならず、10万円以上の備品は減価償却(青色なら30万円未満の特例)で扱います。領収書を保存し会計ソフトで管理すれば、適正な節税と正確な確定申告につながります。なお、税務の最終判断は個別事情で変わるため、迷う場合は税理士・税務署に相談し、最新の制度は国税庁でご確認ください。

「経費の付け方や会計の体制を相談したい」場合は、ツール選定から運用まで一緒に整えられます。お気軽にご相談ください

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よくある質問

経費にできるかどうかの基準は?

『その支出が事業の売上を得るために必要か(事業との関連性があるか)』が基準です。国税庁は必要経費を、売上原価など総収入金額を得るために直接要した費用と、その年の販売費・一般管理費その他業務上の費用としています。プライベートな支出は経費になりません。事業と私用が混ざる支出は『家事按分』で事業分だけを計上します。

自宅兼事務所の家賃や光熱費は経費にできる?

事業に使っている割合分を『家事按分』して経費にできます。国税庁は、業務遂行上直接必要だったことが明らかに区分できる金額に限ると説明しています。面積比や使用時間など合理的な基準で事業使用分を計算し、按分の根拠を説明できるようにしておきます。

家族に払った給与や家賃は経費になる?

原則として、生計を一にする配偶者その他の親族へ支払う給与・地代家賃などは必要経費になりません。ただし青色申告で事前に届け出た『青色事業専従者給与』は、一定の要件を満たせば経費にできる例外があります。詳しくは税理士や税務署にご確認ください。

パソコンなど高額な備品は一度に経費にできる?

取得価額10万円未満なら全額をその年の経費にできます。10万円以上は原則として減価償却しますが、青色申告者には取得価額30万円未満の資産を年間合計300万円まで一括で経費にできる特例があります(適用期限あり)。最新の金額・期限は国税庁でご確認ください。

レシート・領収書はいつまで保存する?

白色申告では収入金額や必要経費を記載した法定帳簿は7年、領収書・請求書などの書類は5年が保存の目安です。青色申告では帳簿・書類とも原則7年保存です。電子取引データは電子帳簿保存法に沿って電子保存が求められます。