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契約書の印紙税はいくら?|収入印紙の金額一覧表と課税文書の判定・電子契約での扱い

契約書の印紙税はいくら?|収入印紙の金額一覧表と課税文書の判定・電子契約での扱い

「この契約書、いくらの収入印紙を貼ればいいのか」——取引先から契約書が届くたびに調べ直している、という発注担当者は少なくありません。金額の段階を1つ読み違えれば過怠税の対象になり、逆に多く貼りすぎても、そのまま気づかずに保管していれば戻ってきません。

そこで本記事では、国税庁の印紙税額一覧を全段階そのまま引ける形で掲載したうえで、課税文書かどうかの判定、契約金額の書き方で税額が変わる仕組み、貼り忘れたときの扱い、電子契約での考え方までを、発注する側の実務目線でまとめます。

※本記事は2026年7月時点で、国税庁タックスアンサー(いずれも令和7年4月1日現在法令等)・国税庁質疑応答事例(令和7年8月1日現在の法令・通達等)・e-Gov法令検索の条文を確認して作成しています。個別の文書が課税文書に当たるかどうかは記載内容による個別判断です。判断に迷う文書は、所轄税務署または税理士にご確認ください。

結論:先に押さえる3点

印紙税は文書の種類と契約金額で決まり名称ではなく中身で判定される

細かい表に入る前に、実務で効く結論を3つだけ先に置きます。

  1. 税額は「文書の種類(号)」×「契約金額」で決まる。 同じ100万円でも、金銭消費貸借契約書(第1号文書)なら1,000円、請負契約書(第2号文書)なら200円です。号を間違えると金額も間違えます。
  2. 契約書のタイトルでは決まらない。中身の実質で判定される。 国税庁も「文書の名称、呼称や形式的な記載文言によるのではなく、その文書に記載されている文言などの実質的な意味を汲み取って行います」としています(タックスアンサーNo.7100)。「覚書」でも課税、「業務委託契約書」でも不課税、はどちらもあり得ます。
  3. 電子契約なら印紙税はかからない。 印紙税の課税対象は「文書」であり、電磁的記録は文書に含まれないためです(国税庁 質疑応答事例)。契約件数が多い会社ほど、電子化の削減額は大きくなります。

印紙税額一覧表(契約書・領収書)

契約金額の段階ごとに印紙税額が決まる一覧表

以下は国税庁タックスアンサーNo.7140No.7141(いずれも令和7年4月1日現在法令等)の内容を、実務で使う順に並べ替えたものです。

📊 表を探すのが面倒なときは:文書の種類と契約金額を選ぶだけで税額がわかる印紙税額 自動計算ツールを用意しました。電子契約にした場合の年間削減額もその場で試算できます。

第2号文書(請負に関する契約書)

工事請負契約書、工事注文請書、物品加工注文請書、広告契約書、Web制作やシステム開発の請負契約書などが該当します。中小企業の発注実務でいちばん出番が多いのがこの号です。

契約金額印紙税額(1通・1冊につき)
1万円未満非課税
1万円以上100万円以下200円
100万円を超え200万円以下400円
200万円を超え300万円以下1千円
300万円を超え500万円以下2千円
500万円を超え1千万円以下1万円
1千万円を超え5千万円以下2万円
5千万円を超え1億円以下6万円
1億円を超え5億円以下10万円
5億円を超え10億円以下20万円
10億円を超え50億円以下40万円
50億円を超えるもの60万円
契約金額の記載のないもの200円

第1号文書(不動産の譲渡・土地の賃借権・消費貸借・運送)

不動産売買契約書、不動産交換契約書、土地賃貸借契約書、金銭消費貸借契約書、運送契約書、貨物運送引受書などが該当します。500万円までの帯は第2号文書と刻みが違うのが要注意ポイントです。

契約金額印紙税額(1通・1冊につき)
1万円未満非課税
1万円以上10万円以下200円
10万円を超え50万円以下400円
50万円を超え100万円以下1千円
100万円を超え500万円以下2千円
500万円を超え1千万円以下1万円
1千万円を超え5千万円以下2万円
5千万円を超え1億円以下6万円
1億円を超え5億円以下10万円
5億円を超え10億円以下20万円
10億円を超え50億円以下40万円
50億円を超えるもの60万円
契約金額の記載のないもの200円

軽減措置(建設工事の請負・不動産の譲渡)

平成26年4月1日から令和9年3月31日までに作成される、①契約金額10万円超の不動産の譲渡に関する契約書(第1号の1文書)、②契約金額100万円超の建設工事の請負に関する契約書(第2号文書)は、税額が軽減されます(タックスアンサーNo.7108)。

不動産の譲渡(契約金額)建設工事の請負(契約金額)軽減後の税額
10万円超50万円以下100万円超200万円以下200円
50万円超100万円以下200万円超300万円以下500円
100万円超500万円以下300万円超500万円以下1千円
500万円超1,000万円以下500万円超1,000万円以下5千円
1,000万円超5,000万円以下1,000万円超5,000万円以下1万円
5,000万円超1億円以下5,000万円超1億円以下3万円
1億円超5億円以下1億円超5億円以下6万円
5億円超10億円以下5億円超10億円以下16万円
10億円超50億円以下10億円超50億円以下32万円
50億円を超えるもの50億円を超えるもの48万円

ここは誤りやすい箇所です。 軽減の対象は「建設工事の請負」に限られます。Web制作・システム開発・デザイン・広告制作などの請負契約書は軽減措置の対象外で、上の第2号文書の本則表(100万円超200万円以下なら400円)を使います。逆に、建設工事の請負契約に基づく契約書であれば、建物の設計など建設工事以外の請負事項が併記されていても全体が軽減対象になります。

第7号文書(継続的取引の基本となる契約書)

契約金額にかかわらず1通4,000円の定額です。売買取引基本契約書、特約店契約書、代理店契約書、下請基本契約書、業務委託契約書などが例示されています(タックスアンサーNo.7104No.7141)。

代表的な入口である施行令第26条第1号は、次の要件をすべて満たすものです。

  • 営業者間の契約であること
  • 売買・売買の委託・運送・運送取扱い・請負のいずれかに関する契約であること
  • 2以上の取引を継続して行うための契約であること
  • 共通して適用される取引条件のうち、目的物の種類・取扱数量・単価・対価の支払方法・債務不履行の場合の損害賠償の方法・再販売価格のいずれか1つ以上を定めること
  • 電気・ガスの供給に関する契約でないこと

なお、契約期間が3か月以内で、かつ更新の定めのないものは第7号文書から除かれます。ここを逆に読んで「契約期間を書かなければいい」と考えるのは誤りで、期間の定めがないものはむしろ第7号文書に該当します。取引基本契約書を作る際は、この点を先に確認しておきましょう。

第17号文書(金銭または有価証券の受取書=領収書)

領収書は、その受取金額が「売上代金」かどうかで扱いが分かれます。売上代金とは、資産の譲渡・資産の使用・役務の提供の対価をいい、手付金も含まれます。

売上代金に係る受取書(第17号の1文書)

受取金額印紙税額
5万円未満非課税
5万円以上100万円以下200円
100万円を超え200万円以下400円
200万円を超え300万円以下600円
300万円を超え500万円以下1千円
500万円を超え1千万円以下2千円
1千万円を超え2千万円以下4千円
2千万円を超え3千万円以下6千円
3千万円を超え5千万円以下1万円
5千万円を超え1億円以下2万円
1億円を超え2億円以下4万円
2億円を超え3億円以下6万円
3億円を超え5億円以下10万円
5億円を超え10億円以下15万円
10億円を超えるもの20万円
受取金額の記載のないもの200円

売上代金以外の受取書(第17号の2文書) — 借入金・保険金・損害賠償金・補償金・返還金などの受取書です。5万円未満は非課税、5万円以上は一律200円、金額の記載がないものも200円です。

どちらの区分でも、「営業に関しないもの」は非課税文書です。株式会社などの営利法人の行為は原則として営業に当たりますが、医師・歯科医師・弁護士・公認会計士などの行為は一般に営業に当たらないとされています(タックスアンサーNo.7125)。

第1号〜第20号の概観

文書の種類(代表例)税額
第1号不動産の譲渡、地上権・土地の賃借権、消費貸借、運送に関する契約書契約金額により200円〜60万円
第2号請負に関する契約書契約金額により200円〜60万円
第3号約束手形・為替手形手形金額により200円〜20万円
第4号株券、出資証券、社債券、受益証券券面金額により200円〜2万円
第5号合併契約書、吸収分割契約書、新設分割計画書4万円
第6号定款(設立時に作成する原本)4万円
第7号継続的取引の基本となる契約書4千円
第8号預金証書、貯金証書200円
第9号倉荷証券、船荷証券、複合運送証券200円
第10号保険証券200円
第11号信用状200円
第12号信託行為に関する契約書200円
第13号債務の保証に関する契約書200円
第14号金銭または有価証券の寄託に関する契約書200円
第15号債権譲渡または債務引受けに関する契約書1万円未満は非課税、以降200円
第16号配当金領収証、配当金振込通知書3千円未満は非課税、以降200円
第17号金銭または有価証券の受取書(領収書)受取金額により200円〜20万円
第18号預金通帳、貯金通帳、保険料通帳など1年ごとに200円
第19号消費貸借通帳、請負通帳、金銭の受取通帳など1年ごとに400円
第20号判取帳1年ごとに4千円

課税文書かどうかの判断

課税文書の3要件と実務で迷いやすい文書の判定

印紙税がかかるのは「課税文書」だけです。課税文書とは、次の3つすべてに当てはまる文書をいいます(タックスアンサーNo.7100)。

  1. 印紙税法別表第1(課税物件表)に掲げられている20種類の文書により証されるべき事項(課税事項)が記載されていること
  2. 当事者の間において課税事項を証明する目的で作成された文書であること
  3. 印紙税法第5条の規定により印紙税を課税しないこととされている非課税文書でないこと

判断は文書全体だけでなく、記載されている個々の内容に基づいても行われます。取引金額そのものの記載がなくても、単価・数量・記号などから当事者間で金額を計算できるなら、それが記載金額になります。

実務でよく迷う文書の判定

文書一般的な扱い注意点
工事請負契約書・工事注文請書第2号文書建設工事は軽減措置の対象
Web制作・システム開発の請負契約書第2号文書軽減措置の対象外。本則の税額を使う
業務委託契約書中身で第2号/第7号/不課税に分岐名称では決まらない
委任・準委任型の契約書課税文書に該当しないとされる国税庁も「委任契約書など」を課税文書に該当しない文書の例に挙げている
取引基本契約書・下請基本契約書第7号文書(4,000円)になることが多い契約金額が計算できるなら第1号・第2号になる
不動産の売買契約書第1号文書軽減措置の対象
土地の賃貸借契約書第1号文書記載金額は権利金など。賃貸料は含まない
金銭消費貸借契約書第1号文書利息金額は記載金額に含まない
領収書(売上代金)第17号の1文書5万円未満は非課税
秘密保持契約書(NDA)原則として不課税とされる業務内容や委託料が併記されると課税されうる
覚書・念書・協定書名称ではなく中身で判定重要な事項を変更するものは課税対象
注文書・申込書通常は課税対象にならない基本契約に基づき自動的に契約が成立する旨の記載や、当事者双方の署名押印があると契約書として扱われる

秘密保持契約(NDA)は、秘密情報の定義・目的外使用の禁止・返還義務だけを定めたものであれば、課税物件表の20種類のいずれにも当たらないため不課税として扱われるのが一般的です。ただし国税庁がNDAを名指しして判断を示した公表事例は見当たらず、これは3要件と課税物件表からの整理です。取引条件が混ざったNDAは課税される可能性があるため、判断に迷う文書は所轄税務署に事前相談するのが確実です。

業務委託契約書も同様で、「仕事の完成に対して報酬を払う」請負型なら第2号文書、「事務処理そのものを委託する」委任・準委任型なら課税文書に当たらないのが原則です。国税庁は、請負の目的物には家屋の建築などの有形のもののほか、シナリオの作成、機械の保守、建物の清掃のような無形のものも含まれるとしています。

契約金額の書き方で税額が変わる

印紙税は「記載金額」で決まるため、同じ取引でも契約書の書き方によって税額が変わります

契約金額の記載がない場合

第1号文書・第2号文書とも、契約金額の記載がないものは200円です。ただし「金額を書かなければ200円で済む」わけではありません。単価・数量・記号などから金額が計算できる場合は、その計算結果が記載金額になります(タックスアンサーNo.7122)。

国税庁は、ビル清掃請負契約書に「清掃料は月10万円、契約期間は1年間とするが、双方異議なき場合はさらに1年延長する」と記載したものは、記載金額120万円(10万円×12か月)の第2号文書になるという例を示しています。契約期間の記載がないものは計算ができないため、記載金額はないものとされます。

この違いは第7号文書との切り分けにも直結します。課税物件表の適用に関する通則3イただし書により、第1号・第2号文書で契約金額の記載のないものと第7号文書の両方に該当する文書は、第7号文書になります。つまり、月額50万円・期間1年と書けば600万円の第2号文書で1万円、期間を書かなければ第7号文書で4,000円、という差が生じます。

なお、これは「期間を書かないほうが得」という単純な話ではありません。契約期間を明示しないことは法務上のリスクにもなるため、税額だけで書き方を決めないでください。

消費税額を区分記載した場合の特例

消費税の課税事業者が課税対象取引について課税文書を作成する場合、消費税額等が区分記載されているとき、または税込価格と税抜価格の両方が記載されて消費税額等が明らかなときは、その消費税額等を記載金額に含めません(タックスアンサーNo.7124)。適用があるのは第1号文書・第2号文書・第17号文書の3つだけです。

契約書の書き方記載金額第2号文書の税額
請負金額1,100万円 うち消費税額等100万円1,000万円1万円
請負金額1,100万円 税抜価格1,000万円1,000万円1万円
請負金額1,100万円(税込)1,100万円2万円
消費税額等10パーセントを含む1,100万円2万円

書き方ひとつで税額が倍になります。 領収書でも同じで、「商品販売代金48,000円、消費税額等4,800円、合計52,800円」と記載すれば記載金額は48,000円となり、5万円未満なので非課税です。同じ取引を「52,800円(税込)」とだけ書けば200円かかります。請求書・領収書のテンプレートを見直す価値がある論点です。インボイス制度の対応で書式を変えた会社は、あわせて確認しておきましょう。

2通作成するか、1通+写しにするか

一つの契約について2通以上の文書を作成し、その全部が契約の成立を証明する目的で作られたものであれば、すべてが課税対象です(タックスアンサーNo.7120)。契約書を2通作れば印紙も2通分かかります。

一方、正本を複写機でコピーしただけのもので、当事者の署名押印や「正本と相違ない」旨の証明がないものは、単なる写しなので課税対象になりません。そのため「原本1通+コピー1部」の運用にすれば印紙代は半分になります。ただし、写ししか手元にない側は原本を相手方に依存することになり、証拠力・紛失リスクの面で不利になります。税額だけで決めず、法務上の影響とセットで判断してください。

貼り忘れ・消印・還付

貼り忘れは3倍の過怠税、自主申出なら1.1倍に軽減

貼り忘れ(不納付)の過怠税

課税文書の作成者が、作成の時までに印紙税を納付しなかった場合、納付しなかった印紙税の額とその2倍に相当する金額の合計額、つまり当初納付すべき額の3倍の過怠税が徴収されます(印紙税法第20条第1項、タックスアンサーNo.7131)。

ただし、所轄税務署長に「印紙税不納付事実申出書」を提出し、その申出が調査による過怠税の決定を予知してされたものでないときは、1.1倍に軽減されます(同条第2項)。条文上は「調査があったことにより決定があるべきことを予知してされたものでないとき」が要件なので、調査の着手後に慌てて申し出ても軽減されないのが建付けです。気づいた時点で早く動くほうが有利になります。

さらに、過怠税は全額が法人税の損金・所得税の必要経費に算入されません。1万円の印紙を貼り忘れれば3万円の支出になり、しかも経費にならない、ということです。

消印の要件

印紙は貼っただけでは納付になりません。課税文書と印紙の彩紋とにかけて、判明に消す必要があります(印紙税法第8条第2項)。消印を忘れると、消されていない印紙の額面金額と同額の過怠税が徴収されます(同法第20条第3項)。

国税庁の質疑応答事例によれば、消印の実務ルールは次のとおりです。

  • 消印する人は文書の作成者に限られない。代理人・使用人その他の従業者の印章または署名でよい
  • 契約書に押した契約印と別の印でも差し支えない
  • 通常の印判のほか、氏名・名称を表示した日付印、役職名やゴム印でもよい
  • 署名は自筆で。氏名でも通称・商号でもよい
  • 単に「印」と書いたり斜線を引いたりしただけでは消印にならない
  • 鉛筆の署名のように簡単に消せるものは消印にならない
  • 共同作成の契約書は、作成者のうち誰か1人が消印すれば足りる

貼りすぎた・不要な文書に貼った場合の還付

次のようなケースは過誤納金として還付の対象になり得ます(タックスアンサーNo.7130)。

  • 課税文書に貼り付けた収入印紙が過大となっているもの
  • 委任契約書など課税文書に該当しない文書を課税文書と誤認して貼り付けてしまったもの
  • 課税文書の用紙に貼り付けたが、使用する見込みがなくなったもの

手続は「印紙税過誤納確認申請(兼充当請求)書」を納税地の所轄税務署長に提出します。印紙が過誤納となっている文書の現物の提示が必要なので、気づいても印紙を剥がしたり切り取ったりしないでください。また、文書を作成した日から5年を経過したものは還付の対象になりません。なお、登録免許税や特許手数料の納付のために貼った収入印紙は、たとえ誤って貼ったものでも印紙税法による還付の対象外です。

電子契約なら印紙税がかからない

電子契約は電磁的記録なので印紙税の課税文書に当たらない

電子契約に印紙税がかからない理由は、「非課税だから」ではありません。印紙税の課税対象が「文書」に限られており、電磁的記録はそもそも文書に含まれないからです。国税庁の質疑応答事例「取引先にメール送信した電磁的記録に関する印紙税の取扱い」は、次のように明記しています。

印紙税の課税対象となるのは、課税物件表の物件名欄に掲げられている文書であり、電磁的記録は文書に含まれません。

同じ考え方から、FAXや電子メールで送信する場合も正本は送付元に保存され、送付先には交付されていないため課税対象になりません。受信側でプリントアウトした文書も写しと同様の扱いです(タックスアンサーNo.7120)。

ただし、電子化しても印紙税がかかってしまうパターンがあります。

  • 電子で送信した後に紙の原本を別途交付した場合、その紙が課税文書になる
  • 印刷した写しに当事者双方が改めて押印すると、契約の成立を証明する文書として課税対象になり得る
  • 電子で結んだ契約を紙の変更契約書で変更する場合、電磁的記録は文書に含まれないため、原契約の金額を引用しても取り込めない

特に3つ目は実務インパクトが大きい論点です。電子契約の金額を紙の変更契約書で増額する場合、通常なら増加金額だけが記載金額になるところ、変更後の総額(当初契約金額と増加金額の合計)が記載金額になると国税庁が示しています(質疑応答事例)。電子で始めた契約は変更も電子で、が実務上の結論になります。

電子契約の法的な有効性や導入判断は電子契約は法的に有効?、サービス選びは電子契約サービスの比較と選び方クラウドサインの評判を参考にしてください。電子契約と印紙税の根拠条文・落とし穴を掘り下げた解説は電子契約に印紙税がかからない理由と注意点にまとめています。

なお、電子契約にすると印紙税はかからなくなりますが、代わりに電子帳簿保存法上の電子取引データの保存義務が発生します。データを紙に出力して保存する措置は令和3年度税制改正で廃止されているため、保存要件はあわせて確認してください(電子帳簿保存法の対応ガイド)。

発注する側の実務ポイント

印紙税は「1通200円」の話に見えて、契約件数が積み上がると無視できない固定費になります。年間コストは次の式で概算できます。

年間の印紙代 = 契約件数 × 作成通数 × 1通あたりの税額

たとえば300万円超500万円以下の請負契約(第2号文書・2,000円)を年36件、それぞれ2通作成している会社なら、2,000円 × 72通 = 年144,000円。500万円超1,000万円以下の帯(1万円)が中心なら、同じ件数で年72万円です。ここに取引基本契約書(第7号文書・4,000円)や領収書の印紙が加わります。

発注側として、コストと事故の両方を抑えるための優先順位は次のとおりです。

  1. まず号の判定を固定する。 自社が日常的に交わす契約書の類型ごとに「これは第2号の何円」を一覧化しておけば、都度調べる時間と誤りが同時に減ります。
  2. 消費税額の区分記載を書式に組み込む。 税抜価格と消費税額を分けて書くだけで、境界にある契約は税額が1段階下がります。
  3. 2通作成の必要性を見直す。 重要度の低い契約は原本1通+写しの運用も選択肢ですが、証拠力とのトレードオフを踏まえて判断します。
  4. 件数の多い契約類型から電子化する。 印紙代・郵送費・締結リードタイムがまとめて減ります。
  5. 迷う文書は事前に確認する。 過怠税は本税の3倍かつ損金不算入です。判断に迷ったまま出すより、税務署や税理士に確認するほうが安く済みます。

契約書そのものの作り方は契約書の基礎とチェックポイント、下請取引の書面交付義務は下請法の基礎もあわせて確認してください。

まとめ

印紙税は号と契約金額で決まり電子化が最大の削減策

  • 印紙税額は文書の種類(号)×契約金額で決まる。第1号と第2号は低額帯の刻みが違うため、号の判定を先に固定する
  • 課税文書かどうかは名称ではなく記載内容の実質で判断される。「覚書」でも課税、「業務委託契約書」でも不課税があり得る
  • 建設工事の請負と不動産の譲渡には令和9年3月31日までの軽減措置がある。Web制作やシステム開発の請負は対象外
  • 消費税額の区分記載や契約期間の書き方で税額が変わる。書式の見直しは効果が大きい
  • 貼り忘れは3倍の過怠税(自主申出なら1.1倍)で、しかも損金不算入。消印漏れも額面と同額を取られる
  • 電子契約は電磁的記録なので課税されない。ただし後から紙の原本を交付する運用は課税リスクになる

「契約まわりのコストを減らしたい」「どこから電子化すべきか整理したい」という場合は、発注する立場の実務に即して一緒に棚卸しできます(税務上の個別判断は専門家と連携します)。お気軽にご相談ください

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よくある質問

契約書にはいくらの収入印紙を貼る?

文書の種類(号)と契約金額の組み合わせで決まります。工事やWeb制作などの請負契約書(第2号文書)なら、1万円以上100万円以下が200円、100万円超200万円以下が400円、200万円超300万円以下が1,000円、300万円超500万円以下が2,000円、500万円超1,000万円以下が1万円です。金銭消費貸借契約書など第1号文書は低額帯の刻みが異なり、100万円の契約でも1,000円になります(不動産の譲渡と建設工事の請負には軽減措置があり、たとえば100万円の不動産譲渡なら500円です)。本文に国税庁の一覧を全段階で掲載しています(2026年7月時点)。

業務委託契約書に印紙は必要?

「業務委託契約書」という名称では決まらず、中身で判定されます。仕事の完成に対して報酬を払う請負型なら第2号文書、営業者間で2以上の取引を継続的に行う基本契約で契約金額が計算できないものは第7号文書(4,000円)、成果ではなく事務処理を委託する委任・準委任型は課税文書に当たらないとされるのが一般的です。混合記載があると判定が変わるため、迷う文書は所轄税務署か税理士に確認してください。

秘密保持契約書(NDA)に印紙はいる?

秘密情報の定義・目的外使用の禁止・返還義務だけを定めたNDAは、印紙税法別表第1に掲げられた20種類のいずれにも当たらないため、一般に不課税として扱われます。ただし国税庁は「文書の名称ではなく記載内容の実質で判断する」としており、業務の内容や委託料、継続取引の条件などが併記されていると第2号文書や第7号文書に該当する可能性があります。断定できない文書は事前に確認するのが安全です。

収入印紙を貼り忘れたらどうなる?

本来納めるべき印紙税額とその2倍、合計で3倍の過怠税が徴収されます(印紙税法第20条第1項)。ただし税務調査で指摘される前に自ら「印紙税不納付事実申出書」を提出した場合は1.1倍に軽減されます。印紙を貼ったのに消印を忘れた場合も、消されていない印紙の額面と同額の過怠税がかかります。過怠税は全額が法人税の損金・所得税の必要経費になりません。

電子契約なら本当に印紙税はかからない?

国税庁は質疑応答事例で「印紙税の課税対象となるのは課税物件表の物件名欄に掲げられている文書であり、電磁的記録は文書に含まれません」と示しており、電子データでの契約に印紙税はかかりません。ただし電子で送信した後に紙の原本を別途交付すると、その紙が課税文書になります。電子契約の金額を紙の変更契約書で増額した場合に記載金額が総額扱いになる論点もあるため、電子と紙の混在運用には注意が必要です。