売掛金の未回収を防ぐ・回収する|督促から支払督促・少額訴訟までの手順
支払期日を3日過ぎても入金がない。経理から「あの会社、まだ入っていません」と言われて先方に電話すると、担当者は「確認します」と言ったきり折り返しがない。請求書は送った。納品も検収も済んでいる。それなのに、口座の残高だけが動かない。
売掛金の未回収は、たいていこの小さな違和感から始まります。厄介なのは、放っておくほど回収できる確率が下がることです。相手の資金繰りが苦しいとき、支払いは「催促してくる順」に片づけられます。何も言わない取引先は、いちばん後回しになります。
先に要点を3つ。
- 勝負は取引が始まる前についている。 与信・契約書・支払条件・請求フローの4点を整えるだけで、未回収の大半は起きません。
- 回収は段階を上げていく。 電話 → 督促状 → 内容証明 → 支払督促 → 少額訴訟 → 通常訴訟 → 強制執行の順。各段階の費用と期間を知っていれば「どこまで追うか」を金額で判断できます。
- 時効は待ってくれない。 現在の民法では原則5年。内容証明で稼げる時間は6か月だけで、時効が振り出しに戻るわけではありません。
※本記事は2026年7月時点の法令・公的機関の情報をもとにした一般的な整理です。個別の債権が回収できるか、どの手続きを選ぶべきかは事案により大きく変わり、手数料や制度も改正されます。手続きを進める前に弁護士など専門家に必ずご確認ください。
未回収は「金額」より「時間」で効いてくる

未回収が痛いのは、損が出るからだけではありません。利益は出ているのに手元の現金だけが足りなくなるからです。仕入代金、外注費、給与、家賃は待ってくれません。計上済みの300万円が入らないだけで翌月の支払いが回らなくなる会社は珍しくありません(→資金繰り表の作り方)。
見落とされがちなのが回収にかける時間です。督促の電話、社内での経緯共有、書面の作成、裁判所への出向き。50万円の債権を追うために延べ数十時間を使うこともあります。「いくらまでは自社で追い、いくらを超えたら専門家に渡すか」の線引きは、揉める前に決めておきましょう。
予防が9割:未回収を生まない4つの仕込み

回収トラブルの多くは、取引を始める前と請求までの運用で防げます。優先順位順に並べると次のとおりです。
| 仕込み | 具体的にやること | 効き目 |
|---|---|---|
| 与信を確認する | 新規・大口の相手は登記情報、決算書、業歴、評判を確認。上限額(与信枠)を決める | 払えない相手と大きな取引をしない |
| 契約書で条件を確定させる | 支払期日、遅延損害金、検収の基準、解除条件を書面に。個別発注も書面かメールで残す | 「言った言わない」を消し、証拠になる |
| 支払条件を設計する | 初回や大口は着手金・前金・分割。サイトを短く。信用が積み上がってから緩める | 未回収額の上限を自分で決められる |
| 請求と期日を仕組みで管理する | 発行日と支払期日を一覧管理し、期日翌日にアラートが出る状態にする | 「気づいたら3か月放置」を防ぐ |
詳しくは契約書の基礎とチェックポイントと取引基本契約書とはへ。収入印紙が必要な契約書もあるため金額の目安は印紙税額の自動計算で、請求業務の効率化は請求書ソフトの比較で確認できます。新規取引先には反社チェックもあわせて。
なお、自社が発注側に立つ場面のルールも変わりました。従来の下請法は2026年1月1日から**中小受託取引適正化法(取適法)**になり、支払期日は「発注した物品等を受領した日から起算して60日以内のできる限り短い期間内」で定める必要があります。手形払も禁止されます(→公正取引委員会取適法関係、下請法の基礎)。
回収の8段階:費用と期間で「どこまで進めるか」を決める

支払いがないときは、いきなり訴訟ではなく段階を上げていきます。全体像は次のとおりです。
| 段階 | やること | 費用の目安 | 期間の目安 | 向いている場面 |
|---|---|---|---|---|
| ① 事実確認 | 請求書の到達、金額、検収完了、振込先を確認 | 0円 | 1日 | すべての起点。飛ばすと足元をすくわれる |
| ② 電話・メール | 担当者と経理の両方に連絡し、支払予定日を記録 | 0円 | 数日 | 事務ミス・請求書未着が原因のとき |
| ③ 督促状 | 書面で正式に請求。支払期限と次の対応を明記 | 数百円 | 1〜2週間 | 連絡が取れない、約束が守られない |
| ④ 内容証明郵便 | 請求した事実と内容を郵便局が証明する形で送付 | 1通1,000円台〜 | 1〜2週間 | 本気度を示したい、時効が近い |
| ⑤ 支払督促 | 簡易裁判所の書記官が支払いを命じる。書類審査のみ | 数千円〜 | 1〜3か月 | 金額に争いがなく相手が払わないだけ |
| ⑥ 少額訴訟 | 60万円以下の金銭請求。原則1回の期日で判決 | 数千円〜 | 1〜3か月 | 60万円以下で証拠がその場で出せる |
| ⑦ 通常訴訟 | 主張と証拠を重ねて判決を得る | 手数料+弁護士費用 | 半年〜1年以上 | 金額が大きい、争点がある |
| ⑧ 強制執行 | 判決等をもとに預金・売掛金・不動産を差し押さえる | 手数料+予納金 | 1〜数か月 | 債務名義があり財産が把握できている |
期間は目安で、裁判所の混み具合や相手の対応で大きく変わります。
③ 督促状:書面にすると相手の対応が変わる
電話で「確認します」を繰り返す相手には書面が効きます。督促状には、請求の内訳(取引日・件名・金額)、当初の支払期日、新しい支払期限、支払われない場合に検討する手続きを書きます。社印を押した会社名義にすると、相手の社内で経理や役員に上がりやすくなります。
このとき遅延損害金にも触れておきます。契約で利率を定めていなければ法定利率によりますが、法務省の告示により**令和8年(2026年)4月1日から令和11年3月31日までの法定利率は年3%**とされています(→法務省「令和8年4月1日以降の法定利率について」、民法404条)。契約書に定めがあれば、その約定が優先します。
④ 内容証明郵便:何を証明してくれるのか
内容証明は「いつ、誰から誰へ、どんな内容の文書が送られたか」を郵便局が証明するサービスです。受け取ったことまで証明したいなら配達証明を併用します。誤解されがちですが、内容証明そのものに強制力はありません。効果は、請求した事実を後から証明できることと、相手に本気度が伝わることの2つです。
日本郵便の案内によると、内容証明の加算料金は480円(2枚目以降は290円増)で、内容証明は一般書留とする必要があります。謄本1枚を定形郵便物(50g以内110円)で一般書留(加算480円)として送るなら、110円+480円+480円で合計1,070円が目安です(→日本郵便「内容証明」、国内の料金表(オプションサービス))。
書式にも決まりがあります。謄本の字数・行数は、縦書きなら1行20字以内・1枚26行以内。横書きは「1行20字以内・1枚26行以内」「1行13字以内・1枚40行以内」「1行26字以内・1枚20行以内」の3つから選べます(→日本郵便「内容証明 ご利用の条件等」)。使える文字はひらがな・カタカナ・漢字・数字・記号で、英語は固有名詞に限られます。
⑤ 支払督促:出頭せずに債務名義を得る
支払督促は、相手の住所地を管轄する簡易裁判所の裁判所書記官に申し立てる手続きです。裁判所の説明では「書類審査のみなので、訴訟の場合のように審理のために裁判所に来る必要はありません」とされています。流れは、申立て → 発付・送達 → 債務者は受け取ってから2週間以内に督促異議を申し立てられる → 異議がなければ債権者の申立てにより仮執行宣言が付され、強制執行の申立てができる、というものです。
注意点は、債務者が異議を申し立てると、請求額に応じて地方裁判所または簡易裁判所の民事訴訟の手続に移行することです(→裁判所「支払督促」)。「争ってくる相手」には向きません。根拠条文はe-Gov法令検索「民事訴訟法」第382条以下です。
⑥ 少額訴訟:60万円以下・原則1回の期日
少額訴訟は、60万円以下の金銭の支払を求める訴えについて、原則1回の審理で解決を図る手続きです。裁判所の説明によると、次の特徴があります(→裁判所「少額訴訟」)。
- 最初の期日までに、原告がすべての主張と証拠を提出する必要がある
- 証拠書類や証人は、審理の日にその場ですぐ調べられるものに限られる
- 利用回数は1人につき同じ裁判所に年間10回まで
- 分割払、支払猶予、遅延損害金免除の判決がされることがある
- 不服申立ては異議の申立てに限られ、控訴はできない(異議は判決を受け取った日の翌日から2週間以内)
- 被告の申立てや裁判所の判断で、通常訴訟に移行することがある
「その場で出せる証拠だけで勝負する」手続きなので、契約書・発注書・納品書・検収書・請求書が揃っていることが前提です。予防の仕込みができている会社ほど使いやすい手続きです。
裁判所に納める手数料の目安
申立手数料は民事訴訟費用等に関する法律で定められており、2026年5月21日に施行された改正民事訴訟法が適用される事件かどうかで金額が異なります。裁判所の手数料額早見表から主な金額を抜き出します(2026年7月時点)。
| 請求額 | 訴えの提起(書面) | 訴えの提起(電子) | 支払督促(書面) | 支払督促(電子) |
|---|---|---|---|---|
| 10万円まで | 3,500円 | 2,400円 | 3,200円 | 3,000円 |
| 30万円まで | 5,500円 | 4,400円 | 4,200円 | 4,000円 |
| 60万円まで | 8,500円 | 7,400円 | 5,700円 | 5,500円 |
| 100万円まで | 12,500円 | 11,400円 | 7,700円 | 7,500円 |
| 300万円まで | 22,500円 | 21,400円 | 12,700円 | 12,500円 |
| 500万円まで | 32,500円 | 31,400円 | 17,700円 | 17,500円 |
被告が2名以上の場合は加算があります。少額訴訟も民事訴訟なので、訴えの提起の欄が目安です。手数料は改正で変わるため、申立て前に必ず裁判所「手数料」で最新情報を確認してください。なお執行文の付与は単純執行文で1通300円、事件記録の正本・謄本の交付は用紙1枚につき150円です。
⑧ 強制執行:相手の財産が分からないときの調べ方
判決や仮執行宣言付支払督促などの「債務名義」を得ても、相手の財産の在りかが分からなければ回収できません。ここで使えるのが次の2つです。
財産開示手続は、執行力のある債務名義の正本を有する債権者などが、債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所に申し立て、債務者本人に財産を開示させる手続きです(→裁判所「財産開示手続」)。第三者からの情報取得手続は、銀行や登記所などから債務者の財産情報を取得する手続きで、対象は次の4種類です。
| 情報の種類 | 内容 | 財産開示手続の前置 |
|---|---|---|
| 預貯金情報 | 預貯金口座の支店名、口座番号、額 | 不要 |
| 振替社債等情報 | 株式・社債・国債等の銘柄と額または数 | 不要 |
| 不動産情報 | 債務者名義の土地・建物の所在地や家屋番号 | 3年以内の財産開示期日の実施が必要 |
| 勤務先情報 | 給与の支払者の名称・住所 | 3年以内の財産開示期日の実施が必要 |
重要な注意点があります。**勤務先(給与債権)の情報取得手続を申し立てられるのは、養育費等の扶養義務に係る請求権と、人の生命・身体の侵害による損害賠償請求権を持つ債権者に限られます。**売掛金の債権者は使えません。実務では預貯金情報の取得と預金債権の差押えが中心です。これらは情報を調べる手続きなので、実際に回収するには別途、差押えなどの強制執行が必要です。
消滅時効:5年か10年か、そして「止め方」

債権は一定期間行使しないと消滅時効で請求できなくなります。民法166条1項は、債権は次のいずれかの場合に時効によって消滅すると定めています。
- 債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないとき
- 権利を行使することができる時から10年間行使しないとき
売掛金は支払期日が契約で決まっているのが通常なので、実務上は「支払期日の翌日から5年」で管理します。2020年4月1日施行の改正民法により、商事消滅時効(5年)や飲食料・小売代金などの短期消滅時効は廃止され、この原則に一本化されました。ただし、施行日より前に生じた債権には改正前の規定が適用される点に注意が必要です。
完成猶予と更新を混同しない
改正民法では、従来の「中断」「停止」に代わって更新(振り出しに戻る)と完成猶予(その間は時効が完成しない)が使われます。この違いを取り違えると、止めたつもりで止まっていなかった、という事故が起きます。
| 事由 | 効果 | 根拠条文 |
|---|---|---|
| 催告(内容証明での請求など) | その時から6か月を経過するまで時効は完成しない。猶予中の再度の催告には効力がない | 民法150条 |
| 裁判上の請求、支払督促、訴訟上の和解・調停、破産手続参加など | 事由が終了するまで完成猶予。権利が確定しないまま終了したときは終了時から6か月 | 民法147条1項 |
| 確定判決等で権利が確定したとき | 事由が終了した時から新たに進行(更新) | 民法147条2項 |
| 協議を行う旨の書面(電磁的記録を含む)による合意 | 合意から1年、定めた期間(1年未満)、協議続行拒絶の通知から6か月のいずれか早い時まで猶予。再度の合意も可能だが通算5年まで | 民法151条 |
| 債務者による権利の承認 | その時から新たに進行(更新) | 民法152条1項 |
実務でいちばん使いやすいのは承認です。一部でも入金してもらう、残高確認書や債務承認弁済契約書に署名してもらう、といった行為が承認にあたり得ます。時効まで残りわずかなら、内容証明で6か月の猶予を確保し、その間に支払督促や訴訟へ進みます。内容証明を繰り返し送っても時間は積み上がりません。
相殺・債権譲渡・ファクタリングの使い分け
裁判所に行く前に検討できる手段もあります。
相殺は、相手にも自社が支払うべき債務がある場合に対当額で消し合う方法です。民法505条1項は、互いに同種の目的を有する債務を負担し「双方の債務が弁済期にあるときは、各債務者は、その対当額について相殺によってその債務を免れることができる」と定めています。同じ相手と仕入・外注の取引もあるなら真っ先に確認したい選択肢ですが、契約書に相殺禁止の条項が入っていることもあります。債権譲渡は売掛債権を第三者に譲り渡す方法で、こちらも契約上の譲渡制限の確認が先です。
ファクタリングは、売掛債権を手数料を払って買い取ってもらい期日前に資金化する方法です。金融庁はこれを「法的には債権の売買(債権譲渡)契約」と説明したうえで、譲渡した債権の回収が売主に委託され、集金できなかった場合に売主が買い戻す、あるいは売主自身の資金で支払わなければならない契約は貸金業に該当するおそれがあると注意喚起しています。買取代金が債権額に比べて著しく低額な場合はヤミ金融業者の疑いがあるともされています(→金融庁「ファクタリングに関する注意喚起」、ファクタリングとは、資金調達の方法)。いずれも資金繰りの時間を買う手段で、未回収そのものを解決するものではありません。
相手が倒産しそうなときの初動
取引先が破産・民事再生・会社更生などの法的手続きに入ると、個別の取り立ては原則としてできなくなります。この局面の判断は難易度が高く、対応を誤ると偏頗弁済(特定の債権者だけを優遇する支払い)として後から否認されるおそれもあります。自社で動くのは次の3つにとどめ、すぐ専門家に相談するのが安全です。
- 事実を集める。 契約書、発注書、納品書、検収書、請求書、メールを1か所に集約する。
- 相殺できるものを確認する。 同じ相手に支払う予定の債務があれば直ちに整理する。
- 担保・保証を確認する。 連帯保証人、所有権留保、商品の引き揚げ条項の有無を見る。
裁判所から破産手続開始の通知が届いたら、期限内に債権届出を行います。
回収できなかったときの税務
回収を諦める判断も経営です。ただし「諦めた」だけでは経費になりません。国税庁は、貸倒損失として損金算入できる場合を3つに整理しています(→国税庁「No.5320 貸倒損失として処理できる場合」)。
| 類型 | 主な要件 |
|---|---|
| 法律上の貸倒れ | 会社更生法、民事再生法、会社法などの規定により切り捨てられた金額。債権者集会の協議決定や行政機関・金融機関などのあっせんによる協議で、合理的な基準により切り捨てられた金額 |
| 事実上の貸倒れ | 債務者の資産状況、支払能力等からその全額が回収できないことが明らかになった場合に損金経理する。担保物があるときは処分後 |
| 形式上の貸倒れ | 売掛債権に限る。取引停止の時と最後の弁済の時などのうち最も遅い時から1年以上経過したとき。または同一地域の債務者に対する売掛債権の総額が取立費用より少なく、督促しても弁済がないとき。いずれも備忘価額を控除した残額が対象 |
あわせて、貸倒れとなった売掛金に含まれる消費税額の調整も可能です。国税庁の案内では、その消費税額を課税売上げに対する消費税額から控除でき、標準税率が適用される取引では貸倒れ金額に110分の7.8を乗じて計算するとされています。貸倒れの事実を明らかにする書類の保存が必要で、免税事業者だった課税期間の売掛金は対象外です(→国税庁「No.6367 貸倒れに係る税額の調整」)。処理の前に必ず税理士に確認してください(→決算書の読み方)。
弁護士に頼むかどうかの判断軸

判断軸は単純で、回収見込額と、かかる費用・時間を比べるだけです。目安は次のとおりです。
| 請求額の目安 | 現実的な選択 |
|---|---|
| 〜30万円 | 督促状と内容証明までを自社で。支払督促も検討。委任は費用が回収額を圧迫しやすい |
| 30万〜60万円 | 少額訴訟が使える範囲。自社対応を基本に、書面の作り方だけスポット相談する手も |
| 60万〜300万円 | 支払督促や通常訴訟。相手が争ってくるなら委任する価値が出てくる |
| 300万円〜 | 早期に弁護士へ。財産の保全(仮差押え)の要否も含めて相談する |
ただし金額だけでは決まりません。相手が明確に争っている、契約書がない、所在が分からない、時効が迫っている、といった事情があれば、金額が小さくても早めに相談したほうが結果的に安く済みます。
「債権回収を代行します」という業者には注意
弁護士・弁護士法人以外の者が、報酬を得る目的で他人の法律事務(債権の取り立てを含む)を業として取り扱うことは、弁護士法72条により原則として禁止されています。例外は法務大臣の許可を受けた**債権回収会社(サービサー)**ですが、取り扱えるのは法律で定められた「特定金銭債権」に限られ、金融機関等の貸付債権などが中心です。通常の商取引で生じた売掛金は原則として対象外と理解しておくのが安全です(→法務省「債権回収会社(サービサー)制度」)。「どんな債権でも回収代行します」とうたう業者に依頼すると、違法な取り立てに巻き込まれるおそれがあります。
まとめ

売掛金の回収は、予防(与信・契約・支払条件・請求管理)と段階的な回収の両輪です。
- 取引前に与信を確認し、契約書で支払期日と遅延損害金を決める。発注・納品・検収の記録を残す
- 未入金は期日の翌日に気づける仕組みに。事実確認 → 電話 → 督促状 → 内容証明の順で上げる
- 争いがなければ支払督促、60万円以下で証拠が揃っていれば少額訴訟
- 内容証明で稼げるのは6か月だけ。時効の更新には裁判上の手続きか相手の承認が必要
- 諦めるときも、貸倒損失と消費税の調整の要件を満たす形で処理する
いちばん効くのは、揉めてからの技術ではなく取引を始める前の仕込みです。回収に強い会社は督促が上手いのではなく、そもそも未回収が起きにくい契約と運用をしています。
「与信・契約・請求フローを含めた取引リスクの整理や、資金繰りの立て直しを相談したい」場合は、実務に即して一緒に整理できます(法的・税務判断は専門家と連携します)。お気軽にご相談ください。
関連記事
よくある質問
売掛金が支払われないとき、最初に何をすればいい?
請求内容と支払期日の事実確認から始めます。請求書が届いているか、金額・振込先に誤りがないか、検収は完了しているかを社内で確認したうえで、電話とメールで支払期日を再確認します。単純な事務ミスや請求書の未着が原因のことも多く、いきなり法的手続きに進む前に事実を固めるほうが確実です。
内容証明郵便を送ると時効は止まる?
止まりません。内容証明による請求は民法150条の「催告」にあたり、その時から6か月を経過するまで時効の完成が猶予されるだけです。猶予されている間に再度催告しても効力はありません。時効を振り出しに戻す(更新する)には、裁判上の請求や支払督促などの手続きに進むか、債務者の承認を得る必要があります。
支払督促と少額訴訟はどう使い分ける?
相手が金額そのものを争っていない(単に払っていない)なら支払督促、争点があり裁判所に判断してもらう必要があるなら少額訴訟が向きます。支払督促は書類審査のみで出頭が不要ですが、相手が2週間以内に督促異議を出すと通常の民事訴訟に移行します。少額訴訟は60万円以下の金銭請求が対象で、原則1回の期日で判決まで進みます。
売掛金の消滅時効は何年?
現在の民法では、権利を行使できることを知った時から5年間、または権利を行使できる時から10年間のいずれか早いほうで時効消滅します(民法166条1項)。売掛金は支払期日が分かっているのが通常なので、実質は支払期日から5年と考えて管理します。ただし2020年4月1日より前に生じた債権には改正前の規定が適用されます。
回収できなかった売掛金は経費にできる?
一定の要件を満たせば貸倒損失として損金算入できます。法律上の貸倒れ、事実上の貸倒れ、形式上の貸倒れ(売掛債権限定)の3類型があり、それぞれ要件が異なります。あわせて、貸倒れとなった売掛金に含まれる消費税額を控除できる制度もあります。判断は税理士に確認してください。