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広告表現の規制まとめ|薬機法・景表法でNGになる表現と言い換え

広告表現の規制まとめ|薬機法・景表法でNGになる表現と言い換え

「シワが消える、と書いていいのか」「顧客満足度No.1と入れたいが、社内に判断できる人がいない」——化粧品・健康食品・美容・医療といった分野の広告原稿は、制作会社から上がってきた文言を前に、決裁の手が止まりがちです。止まったまま出稿すれば機会損失、確認しないまま出稿すれば措置命令や課徴金のリスクが残ります。

やっかいなのは、判断の根拠が1本の法律にまとまっていないことです。同じ1本のランディングページに、薬機法・景品表示法・健康増進法・医療広告ガイドライン・特定商取引法が重なって適用されます。しかも「この単語はNG」という単語リストではなく、表示全体から一般消費者がどう受け取るかで判断されます。

そこで本記事では、実際に問い合わせの多い表現を一覧の判定表にしたうえで、どの法律が誰を規制するのか、違反したときにいくら取られるのか、広告を外注したときに責任がどこまで及ぶのかを、発注する側の実務目線で整理します。断定できない論点は「グレー・要確認」と正直に書きます。

※本記事は2026年7月時点で、厚生労働省の医薬品等適正広告基準(平成29年9月29日薬生発0929第4号)・医療広告ガイドライン・化粧品の効能の範囲に関する通知、消費者庁の景品表示法関係資料・「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」・「No.1表示に関する実態調査報告書」を確認して作成しています。個別の表現が違反に当たるかどうかは商品・文脈・表示全体で変わる個別判断です。出稿前の最終確認は、薬機法・景品表示法に詳しい弁護士や所管の行政庁(都道府県の薬務主管課、消費者庁など)にご相談ください。

結論:先に押さえる3点

広告表現の可否は単語ではなく表示全体で判断される

判定表に入る前に、実務で効く前提を3つだけ置きます。

  1. 禁止されているのは「単語」ではなく「認識させること」。 景品表示法の運用でも、著しく優良と示す表示かどうかは「表示上の特定の文言、図表、写真等から一般消費者が受ける印象・認識ではなく、表示内容全体から一般消費者が受ける印象・認識が基準」とされ、事業者の故意・過失は問われません(課徴金納付命令の基本的要件に関する考え方)。NGワードを置換しただけでは対策になりません。
  2. 薬機法の規制対象は「何人も」。 第66条第1項は「何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない」と定めています。メーカーだけの話ではありません。
  3. 外注していても、確認する責任は発注側に残る。 表示内容の決定を他社に委ねた事業者も景品表示法上の「表示をした事業者」に含まれます。代理店に丸投げした構図こそ、いちばん危ない状態です。

表現のOK/NG判定表(2026年7月時点)

化粧品・健康食品・医療などの広告表現OK/NG判定一覧

問い合わせの多い表現を、根拠となる規定とあわせて並べます。「条件付きOK」は、条件を満たさなければNGになるという意味です。「グレー・要確認」は、公的資料に明示の判断がなく、断定できないものです。

表現想定される商材判断根拠となる考え方
肌にうるおいを与える化粧品OK化粧品の効能の範囲(24)
日やけによるシミ、ソバカスを防ぐ化粧品OK同(37)。「防ぐ」までが範囲
乾燥による小ジワを目立たなくする化粧品条件付きOK同(56)。抗シワ製品評価ガイドライン等の試験で効果確認が必要
歯を白くする歯みがき類条件付きOK同(50)。使用時にブラッシングを行うものに限る
シミが消える/シワがなくなる化粧品NG効能の範囲外。適正広告基準 第4の3(2)
アンチエイジング(単独使用)化粧品グレー・要確認56項目に対応表現なし。業界自主基準を含め個別確認
効果は絶対です/必ず効きます医薬品等NG適正広告基準 第4の3(5) 保証表現の禁止
最高の効きめ/世界初の効果医薬品等NG同 第4の3(6) 最大級表現の禁止
○○大学教授も推薦しています医薬品等NG同 第4の10 医薬関係者等の推せん
飲むだけで血糖値を下げるいわゆる健康食品NG健康増進法第65条第1項の虚偽誇大表示
医者に行かなくてもガンが治る健康食品NG留意事項に明示された違反例
(許可表示が「食後の中性脂肪の上昇を抑える」で)中性脂肪の上昇を抑える特定保健用食品NG許可を受けた表示内容を超える表示
消費者庁承認済み/○○省推薦機能性表示食品NG国の許可・承認と誤認させる表示
顧客満足度No.1/日本一全業種条件付きOK4要件を満たす調査が必要(後述)
業界最安値全業種条件付きOK根拠がなければ有利誤認表示
通常3,000円→初回980円通信販売条件付きOK通常価格での販売実績が必要
今月末までのキャンペーン(実際は継続)全業種NG有利誤認表示の例示
30日間全額返金保証通信販売条件付きOK実際に応じられる条件か。返品特約の表示も必要
個人の感想です(打消し表示)全業種打消しにならない判断に影響を与えないと明記されている
患者さんの体験談医療機関NG医療法施行規則第1条の9第1号
術前術後(ビフォーアフター)写真医療機関条件付きOK治療内容・費用・主なリスク等の詳細説明が必要
絶対安全な手術です医療機関NG虚偽広告
比較的安全な手術です医療機関NG何と比較して安全か不明で誇大広告

判定表はあくまで出発点です。同じ「うるおいを与える」でも、隣に貼った写真やビフォーアフターのコントラスト次第で、全体としては効能を超えた印象を与えることがあります。消費者庁の留意事項も「当該用語等のほか周辺に記載されているその他の表現、掲載された写真、イラストのみならず、時にはコントラストも含め、表示全体で判断する」としています。

どの法律が、誰の、何を規制するのか

薬機法・景表法・健康増進法・医療広告ガイドライン・特商法の守備範囲

広告に関わる主な規制を、「誰が対象か」で並べ替えると全体像がつかみやすくなります。

規制対象となる者対象となる商材規制の中心
景品表示法商品・サービスを供給する事業者全業種優良誤認表示・有利誤認表示、ステマ、過大な景品
薬機法(第66〜68条)何人も医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器・再生医療等製品虚偽・誇大広告、承認前製品の広告
健康増進法(第65条第1項)何人も食品として販売に供する物健康保持増進効果等の虚偽誇大表示
医療広告ガイドライン(医療法)医療機関・広告依頼者等医業・歯科医業、病院・診療所虚偽・比較優良・誇大広告、体験談、術前術後写真
特定商取引法(第12条)通信販売等を行う販売業者通販で扱う商品・役務著しく事実に相違する表示、誇大広告

ここで実務上いちばん見落とされるのが、景品表示法と健康増進法で対象者の範囲が違うという点です。景品表示法で規制されるのは原則として商品・サービスを供給する事業者であり、新聞社・出版社・広告代理店・放送局・ショッピングモールといった広告媒体を発行する事業者は原則として対象外です。一方、健康増進法第65条第1項は「何人も」と定めているため、広告媒体事業者や、媒体への仲介・取次ぎをする広告代理店も規制対象になり得ます。

薬機法についても、そもそも「広告に当たるか」の判断基準が通知で示されています。厚生労働省の薬事法における医薬品等の広告の該当性について(平成10年9月29日医薬監第148号)は、(1)顧客を誘引する意図が明確であること、(2)特定医薬品等の商品名が明らかにされていること、(3)一般人が認知できる状態であること、のいずれの要件も満たす場合に広告に該当するとしています。社内資料や学術論文がそのまま広告になるわけではない一方、商品名を出したSNS投稿は基本的に広告側に入る、という線引きです。

化粧品・医薬部外品:効能56項目の考え方

化粧品の効能の範囲56項目と適正広告基準の関係

化粧品の広告でいちばん確実な判断軸が、化粧品の効能の範囲です。厚生労働省の化粧品の効能の範囲の改正について(平成23年7月21日薬食発0721第1号)の別表第1に、(1)から(56)まで列挙されています。医薬品等適正広告基準も「承認を要しない化粧品の効能効果についての表現は、この通知に定める範囲をこえてはならない」と明記しています。

代表的なものを抜き出すと、次のとおりです。

  • (17)(汚れをおとすことにより)皮膚を清浄にする。
  • (20)肌のキメを整える。
  • (22)肌荒れを防ぐ。
  • (24)皮膚にうるおいを与える。
  • (28)皮膚の乾燥を防ぐ。
  • (36)日やけを防ぐ。
  • (37)日やけによるシミ、ソバカスを防ぐ。
  • (50)歯を白くする(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
  • (56)乾燥による小ジワを目立たなくする。

読み方のコツは3つあります。第一に、「防ぐ」と「消す」は別物です。(37)が認めているのは日やけによるシミ・ソバカスを「防ぐ」ことであって、すでにあるシミを「消す」「取る」ことではありません。第二に、カッコ内は効能に含まれず、使用形態を限定するものとされています。(50)「歯を白くする」は、使用時にブラッシングを行う歯みがき類でなければ使えません。第三に、(56)には追加の宿題があります。同日付の化粧品の効能の範囲の改正に係る取扱いについて(薬食審査発0721第1号・薬食監麻発0721第1号)は、この効能を標榜するには製造販売業者の責任で日本香粧品学会「化粧品機能評価法ガイドライン」の「新規効能取得のための抗シワ製品評価ガイドライン」に基づく試験、またはそれと同等以上の適切な試験を行い、効果を確認することを求めています。消費者から根拠を示すよう求められたときに説明できる状態にしておく必要もあります。

医薬部外品(薬用化粧品)は別枠です。承認を受けた効能効果の範囲であれば表示できますが、適正広告基準は「明示的又は暗示的であるか否かにかかわらず承認等を受けた効能効果等の範囲をこえてはならない」としています。承認された効能の一部だけを特に強調することもできません。自社商品が化粧品なのか医薬部外品なのかで言えることが変わるため、原稿を書く前に区分を確定させてください。

健康食品・サプリメント:3本の法律が同時にかかる

健康食品の広告に薬機法・健康増進法・景品表示法が重なって適用される

健康食品は、食品でありながら効果を語りたくなる商材のため、規制がもっとも重なります。医薬品的な効能効果を標榜すれば薬機法上の未承認医薬品の広告という問題になり、健康保持増進効果について虚偽・誇大な表示をすれば健康増進法第65条第1項、実際より著しく優良に見せれば景品表示法第5条第1号という具合です。

消費者庁の健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項については、違反のおそれがある具体例を挙げています。実務でとくに刺さるのは次の5つです。

  • 体験談の切り取り。 効果を実感できなかった体験談が相当数あるのに、都合の良い体験談だけを引用し、誰でも同様の効果が期待できるかのように見せる表示。有償・無償を問わず、肯定するよう依頼した体験談を一般利用者のものとして表示することも同様に問題とされています。
  • 打消し表示は効かない。 「個人の感想です」「効果を保証するものではありません」「軽い運動を併用した結果です」と書いても、虚偽誇大表示に当たるかどうかの判断に影響を与えないと明記されています。
  • グラフの加工。 試験結果を示すグラフを極端にトリミングして実際より過大に見せる、複数の試験結果があるのに有意差の大きいものだけを使う、といった扱い。
  • 調査条件の伏せ方。 試験対象者がBMI25以上に限定されているのに条件を書かず、標準的な体型の人にも同じ効果があるかのように見せる表示。アンケートの質問が「購入したことに満足していますか」なのに「○%の人が効果を実感した」と表示する例も挙がっています。
  • 認証・推薦の誤認。 「消費者庁承認済みのダイエット用健康食品です」「世界保健機構(WHO)許可」など、制度が実在しない、あるいは制度の趣旨と異なる形での表示。

特定保健用食品(トクホ)と機能性表示食品は、それぞれ許可を受けた表示内容・届け出た表示内容を超えられません。「食後の中性脂肪の上昇を抑える」の許可なのに「食後の」を省いて常時効果があるように見せる、届け出た関与成分以外の成分を強調する、といったパターンが例示されています。ECサイトの商品説明文で行数を詰めようとして修飾語を削るときに、まさにここが崩れます。ネットショップの運営代行EC制作の外注を使う場合は、商品説明の改変ルールを最初に握っておいてください。

「No.1」「最安値」「返金保証」:全業種に共通する論点

No.1表示が合理的な根拠と認められるための4要件

業種を問わず問い合わせが多いのが、この3つです。順に見ていきます。

No.1表示・高評価%表示

消費者庁はNo.1表示に関する実態調査報告書(令和6年9月26日)で、合理的な根拠と認められるには次の4点をすべて満たす必要があるとしました。

要件問題となる例
比較対象となる商品・サービスが適切に選定されている市場の主要なサービスの一部または全部が比較対象に入っていない
調査対象者が適切に選定されている実際の利用者ではなく、単なるイメージ調査の結果を「顧客満足度No.1」と表示
調査が公平な方法で実施されている自社商品を選択肢の最上位に固定して誘導する。No.1になった時点で調査を打ち切る
表示内容と調査結果が適切に対応している「医師の90%が推奨」だが、評価に必要な専門知見と医師の診療科が対応していない

同報告書は、広告主へのヒアリングで「調査会社を信頼していた」「他社も同じ調査会社を起用していたので問題ないと思っていた」といった回答が多く、表示の根拠となる調査の中身(質問項目や比較対象)を広告主自身が把握していなかったと指摘しています。イメージ調査であることを注記していても、「顧客満足度No.1」という表示内容と調査結果が対応していない事実は変わらない、とも明示されました。No.1調査の提案を受けたら、まず質問文と比較対象リストの提出を求めてください。

「業界最安値」「通常価格からの割引」

価格や取引条件を実際より著しく有利に見せると有利誤認表示になります。留意事項では、「今月末までの限定キャンペーン」と表示しながら翌月以降も同じキャンペーンを続けている場合、「通常3,000円で販売している商品」と書きながら最近相当期間3,000円で販売した実績がない場合が例示されています。二重価格を使うなら、比較対照価格での販売実績を残しておくのが実務上の要です。

「全額返金保証」

返金保証そのものを禁じる規定はありませんが、実際には条件が厳しく事実上使えない、申し出ても応じないという運用であれば、有利誤認表示になるおそれがあります。通信販売であれば、特定商取引法上の返品特約の表示との整合も必要です。表示ルールは特定商取引法の表記にまとめています。保証条件をランディングページの本文と申込フォームで食い違わせないことが、いちばん多い事故の予防になります(LPの作り方)。

医療機関・クリニックの広告

医療広告ガイドラインで禁止される広告と限定解除の4要件

医療機関の広告は、他の業種と発想が逆です。原則として広告できる事項が法令で限定列挙されていて、それ以外は広告できないという建て付けになっています。厚生労働省の医療広告ガイドラインは、禁止される広告として虚偽広告、比較優良広告、誇大広告、公序良俗に反する広告、広告可能事項以外の広告、患者等の主観に基づく体験談、誤認させるおそれがある術前術後の写真等を挙げています。

とくに誤解の多い2点を押さえておきます。

体験談は、内容が広告可能な範囲であっても掲載できません。 ガイドラインは「患者等の体験談の記述内容が、広告が可能な範囲であっても、広告は認められない」と明記しています。一方で、個人が運営するウェブサイト、SNSの個人ページ、第三者が運営する口コミサイトへの体験談掲載については、医療機関が広告料等の費用負担の便宜を図って掲載を依頼しているなどの誘引性がない場合は、そもそも広告に該当しないとされています。口コミ・レビューの活用を検討する際は、この誘引性の有無が分かれ目です。

術前術後写真は、説明を付ければ道が開けます。 ガイドラインは「術前又は術後の写真に通常必要とされる治療内容、費用等に関する事項や、治療等の主なリスク、副作用等に関する事項等の詳細な説明を付した場合についてはこれに当たらない」としています。ただし説明の掲載場所にも条件があり、リンク先のページへ飛ばす、利点に比べて極端に小さい文字で書くといった形式は認められません。

自由診療について情報提供する場合は、広告可能事項の限定解除という仕組みがあります。次の4つをいずれも満たす必要があります。

  1. 医療に関する適切な選択に資する情報であって、患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイトその他これに準ずる広告であること
  2. 表示される情報の内容について、患者等が容易に照会できるよう、問い合わせ先を記載することその他の方法により明示すること
  3. 自由診療に係る通常必要とされる治療等の内容、費用等に関する事項について情報を提供すること
  4. 自由診療に係る治療等に係る主なリスク、副作用等に関する事項について情報を提供すること

注意したいのは、リスティング広告やバナー広告は要件(1)を満たさないとされている点です。ガイドラインは「インターネット上のバナー広告、あるいは検索サイトにおいて『癌治療』を検索文字として検索した際に、スポンサーとして表示されるものや、検索サイトの運営会社に対して費用を支払うことによって意図的に検索結果として上位に表示される状態にしたものなどは、①を満たさない」としています。自院サイトなら書けることが、広告経由の着地ページでは書けない、という構造です。集患全体の設計はクリニック・歯科医院のIT活用、美容サロンなど医業以外の店舗についてはサロンのIT活用もあわせて参照してください。

違反したときの処分と課徴金

景品表示法と薬機法の課徴金・罰則の比較

「注意されて直せば済む」という感覚でいると、金額の桁で驚くことになります。主要な処分を整理します。

法律行政処分課徴金罰則
景品表示法措置命令売上額の3%(繰り返し違反は1.5倍=4.5%)。課徴金額150万円未満(売上額5,000万円未満)は課さない優良誤認・有利誤認に直罰100万円以下の罰金(令和6年10月1日施行)
薬機法措置命令(第72条の5)売上額の4.5%(第72条の5の2)虚偽・誇大広告、承認前製品の広告は2年以下の懲役または200万円以下の罰金(併科あり)。両罰規定により法人も同額
健康増進法勧告(第66条第1項)、命令(同第2項)なし命令違反に6月以下の懲役または100万円以下の罰金(第71条)
特定商取引法指示、業務停止命令、業務禁止命令なし一部の違反行為に罰則

景品表示法では、根拠資料を出せないこと自体が不利に働きます。消費者庁長官は表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができ、提出しなければ、実際とは異なることの具体的な立証を待たずに優良誤認表示と推定されます(不実証広告規制)。「効果があるはずだ」ではなく「効果の根拠資料が手元にある」状態で出稿する、という順番が必要です。

令和5年改正景品表示法(令和6年10月1日施行)では、確約手続も導入されました。違反被疑行為をした事業者が是正措置計画を作成・申請し、消費者庁長官の認定を受けると、その行為について措置命令・課徴金納付命令の適用を受けません。ただし、過去10年間に措置命令・課徴金納付命令を受けている場合や、表示に根拠がないと認識しながらあえて表示していたような悪質・重大な場合は、確約手続の対象外とされています。素早く自主的に直せる会社ほど有利になる制度設計です。

広告代理店・アフィリエイターに任せたときの責任

広告を外注している中小企業にとって、いちばん重要なのがここです。結論から言えば、外注しても発注側の責任は消えません

景品表示法・健康増進法で規制対象となるのは「表示をした事業者」=表示内容の決定に関与した事業者であり、消費者庁の留意事項はこれを次の3類型で説明しています。

  1. 自ら、または他の者と共同して積極的に表示の内容を決定した事業者
  2. 他の事業者の表示内容に関する説明に基づき、その内容を定めた事業者
  3. 他の事業者にその決定を委ねた事業者

アフィリエイトについても踏み込んだ記載があります。留意事項は、「広告主がその表示内容を具体的に認識していない場合であっても、広告主自らが表示内容を決定することができるにもかかわらず他の者であるアフィリエイターに表示内容の決定を委ねている場合など、表示内容の決定に関与したと評価される場合には、広告主は景品表示法及び健康増進法上の措置を受けるべき事業者に当たる」としています。アフィリエイターやASPは、通常は自ら商品を供給する者ではないため景品表示法上の措置対象には当たりませんが、表示内容の決定に関与していれば、「何人も」を対象とする健康増進法の措置対象になり得ます。

ステルスマーケティング規制(令和5年10月1日施行)も同じ構図です。消費者庁は、規制の対象となるのは商品・サービスを供給する事業者(広告主)であり、依頼を受けたインフルエンサー等は規制対象ではないと説明しています。つまり、投稿者に「PRと書いてください」と伝え忘れた責任は、発注した側に返ってきます。

発注側が持つべき体制は、景品表示法第22条第1項の管理上の措置として整理されています(「事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針」平成26年内閣府告示第276号)。実務に落とすなら、次のような取り決めを契約と運用の両方に入れておくのが現実的です。

  • 掲載前に原稿・クリエイティブを発注側が確認する手順を契約に明記する(事後報告だけにしない)
  • 効果や優位性を語る表現には、根拠資料の出所を原稿と一緒に提出させる
  • アフィリエイター向けに、使ってよい表現・使えない表現の**素材集(レギュレーション)**を配布する
  • 「PR」「広告」等の表記ルールを、投稿フォーマットのテンプレート側で固定する
  • 違反表示を見つけたときの掲載停止の手順と期限を決めておく

広告運用代行SNS運用代行記事作成の外注を使う場合は、これらを業務委託契約の中に入れておくと、後から「言った・言わない」になりません(業務委託契約書の作り方外注の進行管理)。

社内の広告チェックをどう回すか

法務担当がいない会社で現実的に回るのは、専門家に全件見せる体制ではなく、危ない原稿だけを専門家に上げる仕分けです。次の順で見ると、少ない手数で事故を減らせます。

  1. 商材の区分を確定する。 化粧品か医薬部外品か、いわゆる健康食品かトクホか機能性表示食品か。ここが違うと言えることが全部変わります。
  2. 効果・効能を語っている箇所に線を引く。 語っていなければ薬機法・健康増進法の論点はほぼ落ちます。
  3. 線を引いた箇所ごとに、根拠資料があるか確認する。 承認・届出の範囲内か、試験結果はあるか、出所は書けるか。
  4. 数字・順位・比較・価格を洗う。 No.1、最安、○%、通常価格、期間限定。ここは全業種共通で景品表示法の論点です。
  5. 画像とキャッチコピーの組み合わせを見る。 文字は範囲内でも、ビフォーアフター画像との組み合わせで印象が超えることがあります。
  6. 残った「グレー」だけを専門家に上げる。 ここまで整理してあれば、相談の時間もコストも大きく減ります。

チェックの記録は残してください。景品表示法の課徴金は、表示が違反に当たることを知らず、かつ「知らないことにつき相当の注意を怠つた者でないと認められる」ときは課されないと定められています。確認した事実を残しておくことには、実務上の意味があります。広告の作り方そのものはWeb広告の基本、訴求の設計はセールスライティングも参考にしてください。

まとめ

広告表現の可否は、NGワードの一覧では決まりません。決めているのは、(1)商材がどの区分か、(2)その区分で認められた範囲を超えていないか、(3)表示全体から一般消費者が受ける印象がどうか、(4)その印象を裏づける根拠資料が手元にあるか、の4点です。

そして、外注していても発注側の責任は残ります。景品表示法は表示内容の決定を委ねた事業者も対象としており、ステマ規制で責任を負うのも広告主です。代理店やアフィリエイターに任せる場合こそ、掲載前確認の手順と根拠資料の提出ルールを契約に落としておく必要があります。

一方で、規制は「効果を語ってはいけない」という意味ではありません。化粧品なら56項目の範囲で、トクホなら許可表示の範囲で、根拠のある事実は堂々と書けます。範囲を正確に知っている会社ほど、迷わず攻めた表現が使えるようになります。

「自社の広告表現がどこまで許されるか整理したい」「代理店から上がってきた原稿を確認する社内ルールを作りたい」といった場面では、発注する側の実務目線で一緒に組み立てられます(最終的な適法性の判断は弁護士等の専門家と連携します)。お気軽にご相談ください

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よくある質問

化粧品の広告で「シミが消える」と書いてはいけないのですか?

書けません。化粧品として表示・広告できる効能は、厚生労働省の通知(平成23年7月21日薬食発0721第1号)が定める56項目の範囲に限られ、その中にあるのは「日やけによるシミ、ソバカスを防ぐ」という『防ぐ』表現までです。すでにできたシミが消える、という表現は範囲を超えるため、医薬品等適正広告基準に反すると判断されるおそれがあります。なお、シワについては「乾燥による小ジワを目立たなくする」(56項目の56番)が認められていますが、これを標榜するには抗シワ製品評価ガイドラインに基づく試験等で効果を確認しておく必要があります(2026年7月時点)。

「顧客満足度No.1」は使ってもいいですか?

調査に合理的な根拠があれば使えます。消費者庁の「No.1表示に関する実態調査報告書」(令和6年9月26日)は、合理的な根拠と認められるには、(1)比較対象となる商品・サービスが適切に選定されている、(2)調査対象者が適切に選定されている、(3)調査が公平な方法で実施されている、(4)表示内容と調査結果が適切に対応している、の4点をすべて満たす必要があるとしています。実際の利用者ではなく単なるイメージ調査の結果を「顧客満足度No.1」と表示した場合は、注記を付けていても要件を満たしません。

広告を代理店やアフィリエイターに任せていれば、自社は責任を負いませんか?

負う場合があります。景品表示法で規制されるのは「表示をした事業者」=表示内容の決定に関与した事業者で、これには他の事業者に表示内容の決定を委ねた事業者も含まれます。消費者庁の留意事項は、広告主が表示内容を具体的に認識していなくても、決定をアフィリエイターに委ねている場合には措置を受けるべき事業者に当たるとしています。外注していても、原稿を確認する体制(景品表示法第22条第1項の管理上の措置)は自社で持つ必要があります。

「個人の感想です」と書いておけば体験談は安全ですか?

安全になりません。消費者庁の「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」は、「個人の感想です」「効果を保証するものではありません」等の表示をしても、虚偽誇大表示に当たるかどうかの判断に影響を与えるものではない、と明記しています。判断は表示全体から一般消費者が受ける印象で行われるため、打消し表示は免罪符になりません。

違反するとどんな処分がありますか?

景品表示法では措置命令と課徴金納付命令があり、課徴金は対象期間の売上額の3%(過去10年以内に課徴金納付命令を受けていると1.5倍の4.5%)です。令和6年10月1日施行の改正で、優良誤認・有利誤認に対する直罰(100万円以下の罰金)も新設されました。薬機法では虚偽・誇大広告に対して措置命令(第72条の5)と課徴金納付命令(第72条の5の2、売上額の4.5%)があり、罰則は2年以下の懲役または200万円以下の罰金です(2026年7月時点)。