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カスタマージャーニーマップの作り方|顧客視点で設計

カスタマージャーニーマップの作り方|顧客視点で設計

問い合わせは来るのに成約に結びつかない、広告費は使っているのにどのチャネルが効いているか分からない。こうした状態は、顧客が自社を知ってから買うまでの流れを描けていないことが原因の場合が多いです。カスタマージャーニーマップは、その流れを一枚の図にして「どこで顧客がつまずいているか」を見つける道具です。

まず効く一手を3つ挙げます。

  • 離脱が多い一段階だけを特定する:全工程を完璧に描くより、問い合わせ前後など「数字が落ちている段階」を一つ見つけ、そこに絞って手を打つほうが成果に直結します。
  • 各接点に「次の一歩」を用意する:資料請求の後に何も連絡がない、検討中の人に届く情報がない。こうした「接点の穴」を埋めるだけで取りこぼしが減ります。
  • 想像でなく顧客の声で埋める:問い合わせ内容・営業の所感・解約理由など、手元にある事実から各段階の感情と課題を書き出すと、マップが机上の空論になりません。

以下、カスタマージャーニーの意味から作る手順、施策への落とし込み、運用と失敗例までを順に解説します。

カスタマージャーニーとは

カスタマージャーニーとは

カスタマージャーニーとは、顧客が商品・サービスを**認知し、興味を持ち、検討し、購入し、その後も使い続ける(ファン化する)**までの一連の体験・行動の流れのことです。「ジャーニー(旅)」という言葉のとおり、顧客が一つの目的地に向かって進んでいく道のりを指します。

この流れを表にして可視化したものがカスタマージャーニーマップです。各段階で顧客が「何をして、何を考え、どう感じ、どこで自社と接点を持ち、何に困っているか」を一覧にします。

なぜ作るのか

施策が場当たり的になる大きな原因は、売り手の都合で打ち手を考えてしまうことです。「SNSが流行っているから始める」「とりあえず広告を出す」という発想では、顧客のどの段階に効くのかが曖昧なまま費用と労力を使うことになります。

マップを作ると、次のような変化が生まれます。

  • 顧客視点で設計できる:売り手の都合ではなく、顧客が進む順番で打ち手を考えられます。
  • 施策の抜け漏れが見える:認知は強いが検討段階のフォローが弱い、といった偏りが一目で分かります。
  • チャネルとコンテンツが整理される:段階ごとに必要な情報・接点が明確になり、重複や無駄を減らせます。
  • チームで共通認識を持てる:営業・制作・経営が同じ顧客像と打ち手を共有でき、議論がかみ合います。

カスタマージャーニーは、見込み客を段階で捉えるマーケティングファネルとKPIの考え方と相性がよく、ファネルの各段階に顧客の感情と接点を肉づけしたものがジャーニーマップだと考えると理解しやすいです。

カスタマージャーニーマップの作る手順

カスタマージャーニーマップの作る手順

マップ作成は、次の4ステップで進めます。いきなり完璧を目指さず、まず一枚たたき台を作ることが大切です。

ステップ1:ペルソナを決める

「誰の旅を描くのか」を最初に固めます。対象がぼやけたまま作ると、複数の顧客像が混ざって行動も感情も曖昧になります。年齢・職種・抱えている課題・情報収集の仕方など、具体的な一人の人物像に落とし込みましょう。詳しくはペルソナ設計の作り方で解説しています。

複数の顧客タイプがある場合は、まず売上や問い合わせの中心になっている一人から作り、後で別ペルソナのマップを追加するのが現実的です。

ステップ2:ステージ(段階)を設定する

ペルソナがゴールに至るまでの段階を区切ります。一般的には認知 → 興味・関心 → 比較検討 → 購入・申込 → 継続・推奨といった流れですが、業種や商材に合わせて言葉と数を調整します。

たとえば店舗なら「知る → 行ってみたいと思う → 来店 → 再来店」、サブスク型サービスなら「無料登録 → 利用 → 課金 → 継続 → 紹介」のように、自社の顧客が実際にたどる道に合わせます。

ステップ3:各ステージの中身を書き出す

ここがマップの核心です。各段階について、次の4つを埋めていきます。

項目書き出す内容
行動その段階で顧客が取る具体的な動き(検索する・資料を見る・問い合わせるなど)
思考・感情何を考え、何を期待し、何に不安を感じているか
接点(タッチポイント)顧客が自社と接する場所(検索結果・SNS・広告・サイト・電話・店舗・メールなど)
課題その段階で顧客がつまずく点・情報が足りない点

「思考」と「感情」を分けて書くのがコツです。たとえば検討段階で、思考は「他社と何が違うのか知りたい」、感情は「失敗したくない・不安」というように、頭で考えていることと心で感じていることの両方を捉えると、必要な打ち手が見えてきます。

ステップ4:課題に対する施策を設計する

各段階の「課題」の隣に、それを解消する打ち手を書き込みます。コンテンツ(記事・事例・資料)、チャネル(どの接点で届けるか)、対応(誰がいつ何をするか)の3点で考えると具体的になります。施策の中身は後の章で詳しく扱います。

BtoBとBtoC・店舗での違い

BtoBとBtoC・店舗でのカスタマージャーニーの違い

マップの基本構造はどの業態でも同じですが、顧客の動き方が異なるため、力を入れる場所が変わります。

BtoBの場合

BtoBは検討期間が長く、関わる人が複数になるのが特徴です。担当者が情報収集しても、最終的には上司や決裁者の承認が必要になるため、「情報収集 → 社内検討 → 稟議・承認 → 契約」といった段階を盛り込む必要があります。

担当者に響く情報(機能・操作性)と、決裁者に響く情報(費用対効果・導入リスク)では中身が違います。誰に向けた接点なのかを意識してマップを描くと、提案資料や事例コンテンツの不足が見えてきます。検討段階の見込み客を育てる動きはリードナーチャリングの始め方、商談化の流れはインサイドセールスの始め方が参考になります。

BtoCの場合

BtoCは意思決定が一人で完結し、購入までが比較的短い傾向があります。一方で、感情の動きが購入を大きく左右します。「気になる」「欲しい」「不安」といった気持ちが動く瞬間を細かく描き、その接点で背中を押す情報やレビューを用意することが効果的です。

店舗ビジネスの場合

店舗は、ネット上の認知・検討と、来店というオフラインの体験がつながる点が特徴です。「検索で見つける → 地図やクチコミを確認する → 来店する → 接客を受ける → 再来店する」のように、オンラインとオフラインを一本の流れで描くと、来店前の情報不足や、来店後のフォロー不足が見つかります。

カスタマージャーニーマップの例

カスタマージャーニーマップの例

イメージをつかむために、ここでは「業務効率化ツールを探す中小企業の担当者」を例にした簡易マップを示します。実際には自社の商材に合わせて埋めてください。

段階行動思考・感情接点課題施策
認知課題を感じ検索する何とかしたいが情報が多くて迷う検索結果・SNS自社を見つけてもらえない課題解決の記事・SEO
興味サイトを見て概要を知る自分の課題に合うか不安サイト・記事強みが伝わらない事例・比較情報の整備
比較検討他社と見比べる失敗したくない・社内を説得したい資料・口コミ判断材料が足りない資料請求・導入事例・無料相談
購入・申込問い合わせ・契約する手続きが面倒では困る問い合わせ・営業連絡が遅い・手間が多い迅速な返信・手続きの簡素化
継続・推奨使い続け、人に薦める使いこなせるか・成果が出るかメール・サポート活用方法が分からない活用ガイド・定期フォロー

この表のように一覧化すると、「比較検討の判断材料が足りない」「申込時の対応が遅い」など、強化すべき段階が浮かび上がります。

マップから施策に落とし込む

カスタマージャーニーマップから施策に落とし込む方法

マップを作っただけでは成果は変わりません。各接点に具体的な打ち手を割り当てて初めて意味を持ちます。

接点ごとにコンテンツを用意する

段階によって顧客が求める情報は違います。認知段階では課題を解決する一般的な情報、比較検討段階では他社との違いや導入事例、というように、段階に合った中身を届けます。どの段階にどんな記事や資料が必要かを整理する考え方はコンテンツマーケティングの始め方が役立ちます。

チャネルを段階に合わせる

認知を広げるなら検索やSNSといったWeb集客、検討中の見込み客への継続接触ならメールやマーケティングオートメーション(MA)、というように、段階に応じて接点を使い分けます。一つのチャネルですべてをまかなおうとすると、どこかの段階が手薄になります。

対応(運用ルール)を決める

接点の中には、コンテンツではなく「人の動き」で改善すべきものもあります。問い合わせへの返信を当日中にする、資料請求者に三日以内にフォローの連絡を入れる、といった対応ルールを決めることも立派な施策です。誰が・何を・いつまでに行うかまで落とすと、現場で実行できます。

施策の優先順位に迷ったら、最も離脱が大きい段階や、成約に近い段階から手を付けると効果が出やすいです。サイト上の離脱や申込率を改善する具体策はCVR(コンバージョン率)改善の方法も参考になります。

マップの運用(仮説→検証→更新)

カスタマージャーニーマップの運用と更新

カスタマージャーニーマップは、一度作って終わりではありません。最初のマップはあくまで仮説です。実際の顧客の動きを見ながら、検証と更新を繰り返すことで精度が上がっていきます。

運用は次の流れで回します。

  1. 仮説を立てる:マップをもとに「この段階で離脱しているはず」「この情報が足りないはず」と当たりをつけます。
  2. 検証する:アクセス解析や問い合わせ件数、商談の所感など、手元のデータで仮説を確かめます。各段階の数字をどう見るかはマーケティングファネルとKPIの考え方が使えます。
  3. 施策を回す:確かめた課題に対して打ち手を実行します。
  4. マップを更新する:結果をふまえて行動・感情・課題を書き直します。新しい接点が増えたり、顧客の動きが変われば、それも反映します。

すべての段階を同時に検証しようとすると手が回りません。一度に検証する段階を一つに絞り、小さく回すのが続けるコツです。マップは経営判断や顧客理解を支える土台になるため、半年に一度など見直す時期を決めておくとよいでしょう。

よくある失敗

カスタマージャーニーマップでよくある失敗

カスタマージャーニーマップでつまずきやすいのは、次の3つです。

作って終わりにしてしまう

最もよくある失敗です。きれいなマップを完成させること自体が目的になり、施策に結びつかないまま放置されます。前述のとおり、各接点に「誰が・何を・いつまでに」用意するかまで決め、検証と更新を回してこそ意味があります。

想像だけで作ってしまう

「顧客はこう考えているはず」という思い込みだけで埋めると、現実とずれたマップになります。問い合わせ内容、営業担当の所感、解約・離脱の理由、クチコミなど、手元にある事実をできるだけ材料にしましょう。顧客の声を直接聞ける場があれば、それが一番の材料になります。

細かく作りすぎる

完璧を目指して段階や項目を増やしすぎると、作るだけで疲れてしまい、更新もできなくなります。まずは主要な段階と4項目(行動・感情・接点・課題)で一枚作り、運用しながら必要な部分だけ深掘りするほうが長続きします。

まとめ

カスタマージャーニーマップのまとめ

カスタマージャーニーマップは、顧客視点で施策を設計するための地図です。ペルソナを決め、ステージごとに行動・思考・感情・接点・課題を書き出し、各課題に打ち手を割り当てます。BtoBは検討の長さと関係者の多さ、店舗はオンラインとオフラインのつながりを意識すると、自社に合ったマップになります。

大切なのは、作ったマップを仮説として扱い、データと顧客の声で検証しながら更新し続けることです。離脱の大きい一段階から小さく手を打ち、結果を見てマップを直す。これを繰り返すことで、マーケティング全体の精度が高まっていきます。顧客理解を施策につなげる全体像は中小企業のデジタルマーケティング完全ガイドもあわせてご覧ください。

「顧客視点でのマーケ設計を相談したい」場合は、戦略から一緒に組み立てられます。お気軽にご相談ください

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よくある質問

カスタマージャーニーとは?

顧客が商品・サービスを認知してから、興味・検討・購入・継続(ファン化)に至るまでの一連の体験や行動の流れのことです。これを図(マップ)にすることで、各段階で顧客が何を考え、どこで接点を持ち、何に困っているかを可視化できます。

カスタマージャーニーマップを作るメリットは?

顧客視点で施策を設計できるのが最大のメリットです。どの段階でどのチャネル・コンテンツが必要か、接点の抜け漏れはないかが見え、場当たり的な施策を防げます。チーム内で顧客像と打ち手の共通認識を持てるのも利点です。

カスタマージャーニーマップはどうやって作る?

まずペルソナを決め、認知→検討→購入→継続などのステージを設定します。各ステージで顧客の『行動・思考・感情・接点(タッチポイント)・課題』を書き出し、それに対する施策を整理します。思い込みでなく、データや顧客の声をもとに作ることが大切です。

BtoBとBtoCでマップの作り方は違う?

基本の構造は同じですが、BtoBは検討期間が長く関わる人が複数いるため、稟議や社内承認といった段階を盛り込む必要があります。BtoCや店舗は来店・体験など感情が動く瞬間が成果を左右しやすく、その接点を細かく描くと効果的です。

作ったマップが使われずに終わるのを防ぐには?

完成を目的にせず、各接点に『誰が・何を・いつまでに』用意するかまで決めることです。離脱の多い段階を一つ選んで施策を回し、結果を見てマップを更新する。この検証と更新を続けると、マップが生きた設計図になります。