AI翻訳ツール比較|DeepLなど4サービスの料金と選び方
海外の取引先から届いた英文メールや仕様書を、誰がどう訳していますか。英語が得意な社員に毎回頼んでいるなら、その人の本来の業務がそのたびに止まっています。AI翻訳ツールを使えば、この翻訳待ちの時間をほぼゼロにできます。
先に用途別の結論をまとめます。
- メールや資料の翻訳を日常的に行う → DeepL(税込・年払い時で月あたり1,150円から)
- とにかく無料で大意をつかみたい → Google翻訳、DeepL無料版
- 法人全体で大量に、セキュリティ重視で使う → みらい翻訳 FLaT
- チームで訳語を統一しながら使う → ヤラク翻訳(旧ヤラクゼン)、DeepLのTeam以上
以下で、4サービスの料金実額と制限、社内資料か対外文書かで変わる選び方、機密文書を扱うときの注意点を順に解説します。
AI翻訳サービスでできること

- テキスト翻訳:メール・チャット・短文をその場で翻訳
- ファイル翻訳:Word・Excel・PowerPoint・PDFをレイアウトを保ったまま翻訳
- 用語集:社名・製品名・専門用語の訳語を固定して統一
- Webページ翻訳:ブラウザ上でページ全体を翻訳
- API連携:自社システムやサイトに翻訳機能を組み込む
数年前の機械翻訳と違い、現在の主要サービスはビジネス文書で実用水準の訳文を返します。差がつくのは訳文の質そのものより、ファイル対応・用語集・データの扱い・料金体系です。
選び方の判断軸:社内資料か、対外文書か

- 用途:海外の情報や届いた文書を「理解する」のが目的なら無料版でも始められます。見積書や案内文など「相手に送る文書を作る」なら、用語集と人の最終チェックを前提に有料プランを選びます。
- 量:月に扱う文字数を見積もります。DeepL無料版は月5万文字、ヤラク翻訳の無料プランも月5万字が目安で、超えるなら有料が前提です。
- 専門分野:法務・医薬・技術文書は誤訳の影響が大きい分野です。用語集機能や、分野別の翻訳に対応した法人向けサービスを検討します。
- セキュリティ:契約書や未公開情報を訳すなら、入力データを学習に使わないと明記したサービスに限定します。
- 既存業務との接続:ファイル形式(PDFのレイアウト保持など)や、ブラウザ拡張・API対応を確認します。
主要4サービスの料金・機能比較

| サービス | 料金 | 無料で使える範囲 | データの扱い |
|---|---|---|---|
| DeepL | Individual 1,150円、Team 3,750円、Business 7,500円(1人あたり・税込・年払い時の月額換算) | 月5万文字、ファイル翻訳1件/月(5MBまで) | 有料プランは「データの訓練に使用されない」と明記 |
| Google翻訳 | Web・アプリは無料。Cloud Translation APIは月50万文字無料、超過は100万文字あたり20米ドル | 通常利用はほぼ制限なし | 業務の機密文書はAPI等の法人利用が前提 |
| みらい翻訳 FLaT | 翻訳量連動型は年12万ワードで年額12万円(税抜)から。無制限型は月25万円(税抜)から | 14日間の無料トライアル | 翻訳ログの二次利用なしと明記。ISO27001・27017取得 |
| ヤラク翻訳(旧ヤラクゼン) | プレミアム月1,980円(税抜・年払い)。カンパニーは5名で月13,000円(税抜)から | 月5万字(1回5,000字まで) | 無料プランはデータ機密性保持の保障なし、有料は保障あり |
※料金は2026年6月時点の各社公式サイトの公表情報です。最新・詳細は必ず公式サイトでご確認ください。
DeepL:中小企業の標準になりつつある1本目
訳文の自然さに定評があり、有料のIndividual(税込・年払い時で月あたり1,150円)で月30万文字とファイル翻訳3件/月、Team(同3,750円)で用語集の共有やチーム管理、Business(同7,500円)で文字数無制限と翻訳メモリまで使えます。年払いにすると月払いより約16%安くなります。有料プランは入力データを訓練に使用しないと明記されており、業務利用の安心材料です。
Google翻訳:速さと言語数の幅で選ぶ無料の定番
WebやアプリのGoogle翻訳は無料で、対応言語の広さと手軽さは随一です。業務システムに組み込む場合はCloud Translation APIを使い、月50万文字までの無料枠を超えた分が100万文字あたり20米ドルの従量課金になります。日常の大意把握には十分ですが、機密文書を日常的に扱う用途では法人契約のあるサービスを選びましょう。
みらい翻訳 FLaT:国産・法人向けでセキュリティ重視
TOEIC960点相当の翻訳精度をうたう国産の法人向けサービスです。料金は使う分だけ支払う翻訳量連動型(年12万ワードで年額12万円・税抜から)と、ユーザー数・翻訳量とも無制限の月額25万円(税抜)からの無制限型の2本立て。Word・Excel・PowerPoint・PDFのファイル翻訳に対応し、翻訳ログを二次利用しないことを明記しています。全社規模の導入や、規程上データの扱いに厳しい企業に向きます。
ヤラク翻訳(旧ヤラクゼン):訳語の資産化に強い
翻訳するほど自社のフレーズ・用語が蓄積され、訳文の手直しが減っていくのが特徴です。個人のプレミアムは年払いで月あたり1,980円(税抜)、法人のカンパニープランは5名で月13,000円(税抜)からと、チーム導入の入り口が低めです。無料プランはデータ機密性保持の保障がないと明示されているため、業務文書は有料プランで扱うのが前提です。
なお、ニュアンスの調整や言い換えまで含めて訳したい場合は、ChatGPTなどの生成AIに文脈を伝えて翻訳させる方法も実用的です。専用ツールと違って文字数課金がなく、トーン指定が柔軟な反面、訳抜けの検知や用語統一は苦手なので、重要文書には向きません。
精度の実情:誤訳はどこで起きるか

主要サービスの訳文は、ビジネスメールや社内資料ならほぼ手直しなしで読める水準です。それでも次のパターンでは誤訳が残ります。
- 否定や条件の取り違え:「〜でない限り」「〜を除き」など契約文に多い構文
- 数字・単位・日付:桁や通貨、日付の順序の変換ミス
- 固有名詞:社名・製品名・人名が一般語として訳される
- 主語の補い間違い:日本語の主語省略を誤って補完する
対策は、用語集に固有名詞を登録すること、対外文書は原文と突き合わせて人が確認すること、そして影響の大きい文書はプロに任せることです。契約書や規約類の翻訳を依頼する場合の相場と進め方は翻訳を外注する依頼ガイドにまとめています。
セキュリティ:機密文書を無料AIに入れるリスク

具体的に何が危険なのかを整理します。無料の翻訳サービスやAIチャットに契約書を貼り付けると、(1)入力内容が事業者のサーバーに送信・保存され、(2)規約によってはサービス改善やAIの学習に利用され、(3)取引先名・金額・未公開情報が自社の管理外に残ります。これは取引先との秘密保持契約(NDA)に抵触するおそれがあり、「翻訳しただけ」では済まない問題です。
最低限、次のルールを決めておきましょう。
- 無料ツール禁止の情報を列挙する:契約書・個人情報・未公開の価格や財務数値など
- 業務利用は明記のあるサービスに限定する:DeepL有料プランの「訓練に使用されない」、みらい翻訳の「二次利用なし」、ヤラク翻訳有料の「機密性保持の保障」が判断材料です
- アカウントを会社契約に統一する:個人アカウントの混在は管理外のデータを生みます
導入の手順とよくある失敗

導入は次の5ステップが定石です。
- 翻訳が発生する業務と月間の量(文字数)を棚卸しする
- 自社でよく扱う文書を2〜3本選び、無料版・トライアルで訳質を見比べる
- 用語集に社名・製品名・頻出用語を登録する
- 機密区分ごとに「使ってよいツール」を決めて周知する
- 対外文書の最終チェック担当を決める
よくある失敗は、訳質を比べずに知名度で契約してしまう(分野によって得手不得手があります)、無料版のまま全社に広がり機密管理が崩れる、用語集を作らず訳語がばらばらになるの3つです。翻訳と同様に文章作成をAIで効率化したい場合はAIライティングツールの比較と選び方も参考になります。
まとめ:速さはAI、最後の品質は人で守る

AI翻訳サービスは月1,000〜2,000円台から業務の翻訳待ちをなくせる、導入効果の見えやすい分野です。用途(理解か作成か)・量・専門分野・セキュリティ・接続性の5軸で選び、機密文書のルールを固めたうえで、対外文書は人の最終チェックで品質を守りましょう。
翻訳をきっかけにAI活用を広げたい方は中小企業のAI活用ガイドをどうぞ。海外対応を含む業務の仕組み化は、棚卸しから一緒に設計できますので、お気軽にご相談ください。
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よくある質問
無料の翻訳サービスでも十分?
内容の確認や社内メモの理解なら、Google翻訳やDeepL無料版(月5万文字まで)で十分実用的です。ただし、ファイルまるごとの翻訳・用語集による訳語統一・機密データの保護を求めるなら有料プランが必要です。DeepLなら月1,150円(税込・年払い時換算)から使えるため、業務利用の負担は大きくありません。
機密文書をAI翻訳にかけても大丈夫?
無料サービスへの入力は避けるべきです。無料版は入力データの保護が業務契約として保証されず、学習や品質改善に利用される場合があります。DeepLの有料プランは入力データを訓練に使用しないと明記し、みらい翻訳は翻訳ログの二次利用をしないと公表しています。こうした明記のあるサービスを選び、社内で利用ルールを決めましょう。
AI翻訳の精度はどのくらい?
主要サービスは英日・日英で実用水準に達しており、みらい翻訳はTOEIC960点相当の精度をうたっています。それでも、否定表現の取り違え・数字や単位・固有名詞・主語の補い間違いといった誤訳は一定割合で発生します。社内利用ならそのまま、対外文書は人の最終チェックを前提にすると安全です。
DeepLとGoogle翻訳はどちらがいい?
用途で分かれます。文書ファイルの翻訳や用語集、データ保護まで含めて業務で使うならDeepL有料プランが向いています。とにかく速く大意をつかみたい、対応言語の幅が欲しいという場面ではGoogle翻訳が便利です。両方を無料で試し、自社でよく扱う文章での訳質を見比べるのが確実です。
AI翻訳と翻訳の外注はどう使い分ける?
日常のメール・社内資料・参考資料の理解はAI翻訳、契約書・プレスリリース・Webサイトなど誤訳の影響が大きい対外文書はプロの翻訳(または翻訳+ネイティブチェック)という分担が基本です。AIで下訳を作って外注でチェックだけ依頼すると、費用を抑えつつ品質を確保できます。