AI議事録ツール比較5選|精度・料金・セキュリティで選ぶ
毎週月曜の定例会議が終わったあと、録音を聞き直しながら議事録を清書する。1時間の会議に対して、まとめ作業にさらに1時間。気づけば毎月10時間近くが「書き起こし」だけに消えている。中小企業の現場でよくある光景です。
AI議事録ツールを使うと、この聞き直しと清書の工程をほぼ自動化できます。先に用途別の結論をまとめます。
- オンライン会議が中心で、まず安く始めたい → Notta(年払いなら月あたり1,185円から)
- 対面の打ち合わせ・商談が多い → Rimo Voice、toruno
- 営業商談の記録・振り返りを強化したい → tl;dv
- 全社導入でセキュリティ要件が厳しい → スマート書記(Otolio)などの見積もり型
以下で、主要5サービスの料金実額と無料枠、精度の実情、社外秘を扱うときの注意点を順に整理します。
AI議事録ツールでできること

代表的な機能は次の5つです。
- 文字起こし:会議音声をリアルタイムまたは録音後にテキスト化
- 話者分離:誰の発言かを自動で区別
- AI要約:決定事項・宿題(タスク)・論点を自動で整理
- 検索・共有:過去の議事録をキーワード検索し、チームへ共有
- Web会議連携:Zoom・Teams・Google Meetに参加して自動記録
「正確な文字起こしだけ欲しい」のか「要約や共有まで任せたい」のかで適するツールが変わるため、まず自社の目的を決めてから比較するのが近道です。
選び方の5つの判断軸

- 会議の種類:オンライン中心ならWeb会議連携型、対面や商談が多いなら録音取り込みに強いツールを選びます。両方あるなら両対応が必須条件です。
- 精度に関わる条件:専門用語や社名が多い業種では、単語登録(辞書)機能の有無が実質的な精度を左右します。
- 社外秘の扱い:音声・テキストがAIの学習に利用されないか、保存場所や暗号化、アクセス制限を確認します。経営会議や人事の話題を扱うなら最優先の軸です。
- 既存ツールとの連携:Zoom・Teams・Slack・CRMなど、いま使っている道具とつながるかで定着率が大きく変わります。
- 料金体系:時間課金か人数課金かを確認し、「月の会議時間×参加人数」で実際の支払額を試算します。
会議の効率化全体から見直したい場合は、会議を効率化する方法もあわせてどうぞ。
主要5ツールの料金・機能比較

| ツール | 有料プランの月額 | 無料で試せる範囲 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| Notta | プレミアム1,185円、ビジネス2,508円(いずれも税込・年払い時の月額換算) | 月120分(1回3分まで) | 58言語対応(公称)、話者識別、Web会議連携 |
| スマート書記(Otolio) | 要問い合わせ(使用量ベースの課金・利用人数は無制限) | 14日間の無料トライアル | 最大20名の話者分離、ISO27001取得、法人向け |
| tl;dv | Proは月18米ドル、Businessは月59米ドル(年払い時) | 録画・文字起こしは回数無制限(AI要約の回数等に制限) | 営業向けの分析・CRM連携、30以上の言語 |
| Rimo Voice | 文字起こし1,650円、プロ4,950円、チーム6,600円(税込) | 無料トライアルあり(カード登録不要) | 全プランで「AI学習なし」を明記、話者分離 |
| toruno(リコー) | パーソナル1,650円(税込・月10時間)、ビジネスは月100時間28,500円(税抜)など | パーソナルは累計3時間無料 | 録音・テキスト・画面を同時記録、学習利用なしを明記 |
※料金は2026年6月時点の各社公式サイトの公表情報です。最新・詳細は必ず公式サイトでご確認ください。
Notta:まず試す1本目の定番
無料枠が月120分あり、個人の検証から始めやすいサービスです。プレミアム(年払いで月あたり1,185円)は月1,800分まで文字起こしでき、ビジネス(同2,508円)は時間無制限でWeb会議の録画やCRM連携まで対応します。年払いにすると月払いより4割ほど安くなるため、月払いは割高になる点だけ注意してください。
スマート書記(Otolio):全社導入向けの見積もり型
2025年12月にスマート書記からOtolioへ名称を変えた法人向けサービスです。料金は公開されておらず、会議量に応じた個別見積もりですが、人数課金ではないため大人数で使っても費用が膨らみにくい設計です。ISO27001を取得し、最大20名の話者分離に対応します。
tl;dv:商談の記録と振り返りに強い
Zoom・Teams・Google Meetの録画とAIメモに特化した海外サービスで、無料プランでも録画と文字起こしの回数に制限がありません。Pro(年払い時で月18米ドル、月払いは29米ドル)でAI要約が無制限になり、Business(同59米ドル)では営業向けのコーチング分析やCRM連携が使えます。料金は米ドル建てのため、為替で実質負担が変わる点は念頭に置きましょう。
Rimo Voice:日本語特化とセキュリティ表記の明快さ
日本語に強い国産サービスで、文字起こしだけなら月1,650円(税込・月2,100分)から使えます。特筆すべきは、最安プランからすべてのプランで「AI学習なし」と公式に明記している点です。AI要約や録画ボットが必要ならプロ(4,950円)以上を選びます。
toruno(リコー):対面会議と「画面ごと記録」
録音・文字起こしに加えて会議画面のキャプチャまで残せるのが独自の強みです。個人向けは月1,650円(税込)で10時間、法人向けは利用時間に応じた月額制(例:月100時間で28,500円・税抜)です。音声も文字起こし結果もAIの学習に利用しないと公式FAQに明記されています。日本語以外の文字起こしは、法人向けのAI要約プラン契約時のみの対応です。
AI議事録の精度はどこまで実用か

結論から言えば、静かな会議室で1人ずつ話す会議なら、ほぼそのまま読める水準に達しています。一方で精度が落ちるのは次の条件です。
- 複数人が同時に話す、相づちが多い
- マイクから遠い席の発言、スピーカー越しの音声
- 専門用語・社名・人名などの固有名詞
- 早口や方言、小さな声
対策はシンプルで、効果が大きい順に「会議用マイクを使う」「単語登録(辞書)に固有名詞を入れる」「1人ずつ話す進行にする」の3つです。それでも誤変換はゼロにならないため、AIの出力は下書きと割り切り、決定事項と金額・日付だけは人が確認するルールにしておくと安全です。
要約の精度を上げたい場合は、文字起こしテキストをChatGPTなどの生成AIに渡し、議事録のフォーマットを指定して整形させる方法も有効です。また、登壇記録や取材音声など一字一句の正確さが必要な案件は、文字起こしの外注と使い分けると品質を担保できます。
セキュリティ:社外秘の会議で確認すべきこと

会議には人事・財務・取引条件といった機密が含まれます。導入前に次の3点を確認してください。
- 学習利用の有無:入力した音声やテキストがAIモデルの学習に使われるか。Rimo Voiceとtorunoは学習利用しないことを明記しています。Nottaは「AI学習なし」の設定がエンタープライズプランの提供機能とされており、見積もり型のサービスでは契約前の確認事項です。
- 保存場所と暗号化:Nottaはデータの国内保管とSOC 2・ISO27001取得を公表しています。海外サービスは保存先リージョンも確認しましょう。
- 共有範囲の制御:議事録のURL共有を誰でも開ける設定にしない、退職者のアカウントを残さない、といった運用面の設定です。
特に危険なのは、会社契約のツールを待てずに、個人の無料アカウントへ録音を上げてしまうケースです。無料の個人向けサービスは規約上データが品質改善に使われる場合があり、取引先名や金額を含む録音が社外のサーバーに残ります。最悪の場合、秘密保持契約(NDA)違反を問われかねません。「録音をアップしてよいツールと情報の範囲」を先に社内ルール化し、参加者への録音同意の声かけもセットで徹底しましょう。
導入の手順とよくある失敗

導入は次の5ステップで進めると失敗しにくくなります。
- 月の会議時間と形式(オンライン/対面)を棚卸しする
- 候補を2つに絞り、無料枠で同じ会議を記録して精度を比べる
- 単語登録に社名・製品名・頻出用語を入れる
- 議事録の確認者と保存先、共有ルールを決める
- 1部署で1か月運用してから全社に広げる
よくある失敗は3つです。「精度を1回も検証せずに年契約してしまう」(自社の会議環境で試すのが鉄則)、「料金プランの時間上限を超えて追加費用が膨らむ」(会議時間の実測が先)、「文字起こしを保存するだけで誰も読まない」(要約とタスクの抽出までやって初めて時短になります)。ほかの業務効率化ツールの選び方は中小企業の業務効率化ツール完全ガイドにまとめています。
まとめ:会議の記録は「自動化が前提」の時代へ

AI議事録ツールは、毎週必ず発生する会議業務をそのまま自動化できる、費用対効果の高い投資です。月1,185円のNottaから人数無制限の見積もり型まで価格帯は幅広いものの、会議の種類・精度条件・社外秘の扱い・連携・料金の5軸で絞れば、候補は自然と2つ程度に決まります。まず無料枠で自社の会議を記録し、精度を自分の目で確かめるところから始めてください。
議事録にとどまらず、AIをどの業務から導入すべきか迷う場合は中小企業のAI活用ガイドを参考に、業務の棚卸しから設計したい場合はお気軽にご相談ください。
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よくある質問
AI議事録ツールの精度はどのくらい?
静かな環境で1人ずつ話す会議なら、そのまま読める水準の文字起こしが期待できます。一方で、専門用語・固有名詞・複数人の同時発話・マイクから遠い声は誤変換が起きやすい部分です。多くのツールにある単語登録(辞書)機能に社名や製品名を登録し、重要な記録は人が最終確認する前提で運用すると安心です。
無料でも使える?
使えます。たとえばNottaは月120分(1回3分まで)、torunoパーソナルは累計3時間まで無料で文字起こしできます。ただし無料枠は時間・回数・保存期間の制限が厳しいため、精度と操作感の確認用と割り切り、業務で常用するなら月1,000〜5,000円程度の有料プランを検討するのが現実的です。
オンライン会議と対面の会議、どちらでも使える?
ツールによります。Zoom・Teams・Google Meetなどに参加して自動記録するWeb会議連携型と、スマホやICレコーダーの録音・その場の収音を取り込む録音型があり、両対応のツールも多くあります。自社の会議がオンライン中心か対面中心かで方式を選ぶのが先決です。
社外秘の会議で使っても大丈夫?
データの扱いを確認してから使えば選択肢はあります。確認すべきは、音声や文字起こしがAIの学習に利用されないか、保存場所と暗号化、アクセス権限の3点です。Rimo Voiceやtorunoのように学習利用しないことを公式に明記するサービスもあります。個人契約の無料ツールに社外秘の録音を入れるのは避けましょう。
結局どのツールから試せばいい?
オンライン会議が中心ならNotta、対面の打ち合わせが多いならRimo Voiceかtoruno、海外メンバーとの会議や商談の振り返りが目的ならtl;dv、全社導入でセキュリティ要件が厳しいならスマート書記(Otolio)の見積もり相談、という入り口がおすすめです。いずれも無料枠やトライアルで精度を確かめてから契約しましょう。